「この世界に住んでみたい」欧米視聴者を魅了したスタッフワーク
莫大な製作費が投じられたと言われる「SHOGUN 将軍」は、衣装デザインやメイクアップ、視覚効果、音響編集などスタッフワークの水準もケタ違い。実際、「エミー賞」18冠のうち14の賞は、専門的なスタッフワークに贈られた。
大坂城を彩る絢爛(けんらん)な衣装から、朝露の湿り気を感じる網代の風景まで、彼らが総力を挙げてカナダのロケ地に作り出した「SHOGUN 将軍」の世界はまさに、中世日本そのもの。ニッキ・ノヴァクはセットについても「景色、匂い、手触り(が感じられる)、私もこの世界に住んでみたいと思ったほどの“仮想現実”」と表現している。
それを実現させたのが、プロデューサーも務めた真田の“本物の(authentic)日本の文化を世界に伝えたい”という思いだ。真田はさまざまな場で「私たちは可能な限り本物を作ろうと努力しました。そのために各分野に時代劇のエキスパートである日本のクルーを採用しました。かつら、小道具、衣装、所作…。日本のクルーと西洋のクルーが一緒に素晴らしい仕事をしてくれました」と語っている。
ケータリングの列にも変化が…
異文化コミュニケーションをテーマの一つに据えた「SHOGUN 将軍」。それ自体が、日本やアメリカ、撮影地カナダのスタッフが共に作った異文化コミュニケーションの結晶だ。撮影現場では日本食とウエスタンフードのケータリングが用意されたが、それぞれの列に並ぶ顔ぶれも次第にミックスされていったという。
2つの言語と文化が溶け合うシーンは「エミー賞」作品賞の受賞スピーチ壇上でも見られた。時代劇を継承してきた先人たちに向けて真田が日本語で「これまで時代劇を継承して支えてきてくださったすべての方々、そして監督や諸先生方に心より御礼申し上げます。あなた方から受け継いだ情熱と夢は海を渡り、国境を越えました」とスピーチすると、それをマークス氏が英語に訳して伝え、最後はマークス氏が「アリガトウゴザイマス!」、真田が「Thank you so much!」と声を張り上げた。
思いを一つにした東西のクルーが世界の視聴者の心に響く“時代劇”を作り上げ、「エミー賞」史上最多受賞や外国語作品初の作品賞受賞といった偉業を成し遂げたのだ。
「SHOGUN 将軍」第1、2話の劇場公開は11月16日(土)から11月23日(土)まで、ディズニープラスのスターでは全話独占配信中。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
https://www.disneyplus.com/ja-jp/series/shogun/
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Hodder & Stoughton
発売日: 2013/06/20