俳優・真田は「あらためてスターならではのオーラを持った方」
――吉井虎永を演じる“俳優・真田広之”は、どのように映っていましたか?
プロデューサーのときの真田さんはスタッフの一員として、撮影現場の寒いテントの中でモニターを見ながらいろいろなことを細かくチェックされていて、みんなの中に溶け込んでいるんです。でも、虎永としてカメラの前に立った瞬間にパッと光り輝くというか、あらためてスターならではのオーラを持った方なんだなと感じました。
主演としてクリエーティブに作品を引っ張ってくださいましたし、プロデューサーとしても前向きな姿勢でスタッフを支えていただいて。真田さんがいたからこそみんなの気持ちが盛り上がって、それが作品にとってプラスになったような気がします。
――主役・脇役問わず、多くの日本人俳優が出演していますが、キャスティングで工夫した点はありますか?
5年、10年くらい前のハリウッド作品だと、英語を話す必要がない役でも現場での利便性などを考えて英語がしゃべれるロサンゼルス在住の日本人や日系人俳優がキャスティングされる傾向が強かったんです。今回は、ジャスティンが日本のプロダクションの役者さんが演じるのがベストだと考えていて。日本で大々的にオーディションを行うことができました。
ジャスティンは日本人俳優に関する基礎知識がないから、純粋に自分が書いた役に合った人を選んでいく。その過程は非常に面白かったですし、参加された日本の俳優さんたちにも刺激的だったんじゃないかなと思います。
――ハリウッドや海外の作品における日本の描き方が変わって来たという実感はありますか?
それは、すごく感じています。最近はハリウッドでも、普段スポットライトが当たらないような文化や人々を題材にするときはちゃんと本格的に描かないといけないという雰囲気になっていて。「SHOGUN 将軍」はそういう時代の流れに重なることができたし、ちょっと先を行ってさらに引っ張ることができたんじゃないかなと。それが認められたということは大きかったような気がします。
宮川Pの転機は「沈黙 -サイレンス-」
――そういう意味ではエンタメとしての1つのターニングポイントになったのかもしれませんが、宮川さん自身にとっての転機は何ですか?
やっぱり「沈黙 -サイレンス-」でのプロデューサーとしての経験値がなかったら「SHOGUN 将軍」でもここまで機能できていなかったと思うんです。だから、この2本は私のキャリアにとっても大事な作品になりました。
――ちなみに、日本の映画はどんなジャンルが好きですか?
何でも見ますけど、作家性が強い作品に惹かれます。是枝裕和監督、北野武監督、三池崇史監督の作品は独特の視点とスタイルがあって面白いですよね。
――今後、携わってみたい作品はありますか?
今は台湾、シンガポール、マレーシア、インドネシアといった日本とも近いアジアの国々に興味があって。何か面白いことができたらいいなと考えています。
――「SHOGUN 将軍」のシーズン1を見た人たちにとっては続編が待ち遠しいと思うんですけど、次回作の構想などはありますか?
世界中で盛り上がってくださっているみたいですごくうれしいです。内容に関してはまだお話できないんですけど、シーズン1の脚本家チームが再結成して、今まさに書いている段階。シーズン1で原作の最後の1ページまで使い切ってしまったので、シーズン2は前作をベースに完全オリジナルストーリーになる予定です。時代考証のリサーチもさらにしっかりとやっていて、きっとシーズン1を超えるものになるだろうと私自身も楽しみにしています。
――今回の大ヒットを受けて、劇場で1話と2話が上映されることになりました。大きなスクリーンで見る際に「序盤のここを見逃さないで!」というポイントを教えてください。
映画館ならではの大きな画面と音響システムを楽しんでいただけたらうれしいです。音に関しては刀を抜いたり、収めたりするときや着物を着た女性が歩くときの足音などが違和感なく自然と耳に入ってくるので、すんなりと物語の世界観に入り込めると思います。
「SHOGUN 将軍」第1、2話の劇場公開は11月16日(土)から11月23日(土)まで、ディズニープラスのスターでは全話独占配信中。
◆取材・文=小池貴之
https://www.disneyplus.com/ja-jp/series/shogun/
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Hodder & Stoughton
発売日: 2013/06/20