勉強の姿勢は「興味が原動力」
――そこから勉強されて、高校1年生の夏の予備試験に合格されているので、実質半年くらいで合格されたということですよね。それが、伊藤塾の先生からすると、すごいことだとおっしゃられていました。
早川:確かに期間は短いと思います。僕としては、学んでいくことが楽しくて夢中になって取り組んだことと、逆に夏の試験まで時間が限られていたので、ギュッと集中して勉強したことが合格に繋がったのかもしれません。
加藤P:すごいですね。中学生のときにすでに目標を明確に見つけられたと…私は中学3年のとき何をしていたんだろう…(笑)。実際合格してみて、周囲の反応はどうでした?
早川:家族も友人も、おめでとう!と喜んでくれました。ただ、家族は『まだ受かっただけだからね』と。『入口に立っただけだから、ここから先の方がずっと大事だから』と言われました。それは本当にその通りだなと思っています。
加藤P:それは、お父様からですか?
早川:はい。父からそういうふうに言われて、その通りだなって思いましたし、ありがたかったですね。
加藤P:合格発表はご家族一緒に見に行ったのですか?それはどこかに掲示される?
早川:はい。両親と一緒に、法務省に貼り出されるので、見に行きました。ちょうど代休の日だったので、見に行くことができました。
――合格に向けて、どのように勉強されたか教えてください。
早川:中3の2月に、予備試験を目指すぞって決めてからは、興味の赴くままがむしゃらに勉強してました。 平日は、学校から帰ってきて、先ほどお話しした『伊藤塾』のオンライン授業を夜10時、11時まで受けるという生活でした。休日は、6、7時間は少なくとも勉強してました。何より、興味が原動力だったので、効率的に計画的に勉強を進めるぞというよりは、わからないところとかつまずいたところがあったら、徹底的に突き詰めて理解できるまで取り組むっていうやり方です。直前期は、もう限界まで頑張って、朝7時には起きて、夜11時まで1度も休まずに勉強するとか、本当に休憩はご飯とお風呂だけみたいな感じでした。
加藤P:きついなとか、しんどいなとかは、思わずにですか?
早川:本当に、勉強自体が楽しいと思っていたから頑張れたんだと思います。夏休みは、遊びの予定とかも全部返上して、全力で勉強してました。
――独自の勉強法があれば教えてください。
早川:勉強を進める上で、一番意識していたのは、“暗記をするのは最終手段”ということです。もちろん、司法試験は覚えることが膨大にあるのですが、ただ丸暗記するのではなくて、こことここは共通点があるなとか紐づけられることが多いので、暗記ではなく、体系的に理解するということに、重きを置いてました。それがよかったんじゃないかなと思います。
将来の夢は「日本のクリエイターを守る弁護士」
――ご両親はどのような教育方針だったと思いますか?
早川:両親からは、好きなことをやればいいけど、やったことには責任を持ちなさいと言われてきました。これは中学受験の時も同じで、中学受験をしたいと言い出したのも僕でしたし、司法試験、予備試験を受けると決めた時も、受けたいなら受ければいいと。ただ、中途半端に投げ出したりせずに、覚悟を持ってやりなさいって言われて。だからこそ自分ごととして捉えることができたというか。自分が好きで自分がやりたくて、これに魅力を感じてやってるんだって思えたので、それは本当にありがたかったです。
加藤P:ご両親は弁護士さんではないのですか?
早川:はい。弁護士ではないですし、法律に詳しくもないです。
加藤P:心に残った言葉はありますか?
早川:そうですね。ここで上手くいかなかったからと言って将来どうにかなるわけではないし、未来が決まるわけでは全くないから、思い切ってやってこいと、言葉をもらいました。それは、どんなチャレンジをする時も、ずっと言われてきたことでしたね。
――司法試験の勉強以外に、今取り組んでることや、夢中になっていることはありますか?
早川:今までずっと司法試験の勉強をしてきて、これから大学受験もあるので、今特段、夢中になっていることをあげるのはちょっと難しいんですけど、司法試験はいったん区切りがついたので、これからどんどん世界を広げていけるなと思っています。司法試験に受かったといっても、社会経験が全然足りていませんし、これから色んなことにチャレンジして夢中になれるものを見つけたいなって思っています。
加藤P:すごい17歳…。すごいという言葉しか出てこないのですが…(笑)テレビは見たりしますか?
早川:テレビはよく見てますし、アニメやドラマも好きです。実はそのことが、将来やりたいことにも少し繋がっています。司法試験を目指す過程でできた夢なのですが、将来は、日本のクリエイターを守る弁護士になりたいなと思っています。というのも、アニメ、ゲーム、ドラマ、映画、音楽といったコンテンツは、やっぱり日本が世界に誇れるものだと思います。でも、今、生成AIの台頭によって大きな変化が起きています。生成AIで、これまで大人数で取り組んでいたことを、少人数で作ることも出てくるでしょうし、すでに生成AIで権利が侵害されている事例もあると聞くので、今が節目というか、重要な局面にあるのかなと思うんです。
日本のコンテンツ産業にとって大きな飛躍のチャンスでもあると思うんですけど、逆に言えば、著作権とか法的な整備が整わず、そのチャンスや成長が阻まれてしまうこともまた同様にあると思います。だからこそ法律の知識や法整備がめちゃくちゃ大事だと感じていて、日本企業や日本のコンテンツビジネスに携わるクリエイターたちを法的にサポートしたりとか、法整備に携わったり、日本のコンテンツビジネスが世界で活躍するための助けになれればというか、陰ながらサポートしたいなって思っています。
司法試験の選択科目で僕は知的財産法という、著作権や特許などが含まれる分野を選択したのですが、それらの法律を学ぶことで、将来やりたいことを考えるきっかけになりました。
加藤P:ちょうどドラマ「モンスター」の第2話で、AIが作成した歌詞は著作権侵害といえるのか?というテーマを扱いました。まだ基準や法整備が整っていないグレーな分野ですもんね。
早川:そうですよね。今は過渡期なので、これから日本のコンテンツがどうなるか、すごく重要な場面だと思います。技術の発展に法整備のスピードが追い付くことは簡単ではありません。司法試験に早く合格できたことで、これからの時間を別のことに割けますし、たくさんのことが学べる猶予があるので、この時間を活かして知識を深めたいなと思っています。