斬ったはずの大根がくっつく「戻し斬り」
念至の強引さに負けて協力の申し出を受けることにした剣心は、手始めに人探しを頼む。剣心が探している人物は、新井赤空と比古清十郎のふたり。翌日、さっそく新井赤空の情報が届くが、それは彼がすでに8年前に死んでいるというものだった。赤空は剣心の逆刃刀を作った刀匠で、その技術は息子の新井青空(CV:広瀬裕也)へと受け継がれているという。剣心は、瀬田宗次郎(CV:山下大輝)との戦いで折れてしまった逆刃刀に代わる新しい刀を作ってもらうため、操と念至とともに青空が営む刃物屋を訪れる。お店に着くやいなや、店頭に並んでいる包丁を試し斬りした剣心が見せたのは、切断したはずの大根が元通りにくっつく「戻し斬り」という高度な技で、これはこの包丁が紛れもなく名刀であることの証であった。
ここでは神業と言える「戻し斬り」シーンも見どころだが、テンポの良いコメディ描写にも注目したい。店頭にいたのが赤ん坊ひとりで、それを見た剣心たちが一瞬「彼が青空?」と勘違いして驚くシーンは、まるで漫画の1コマのようなモノクロカットで描かれており、本作のコメディ描写の引き出しの多さを感じさせてくれる。さらに剣心が試し斬りをするために丸々と太った大根を懐から取り出すシーンでは、「ぬ」という擬音とともに、念至と操のポーズまで含めて原作のコマを忠実に再現しており、往年のファンにとっては嬉しい限り。序盤の「チャウチャウちゃうんちゃう?」の下りもそうだが、随所に見られる原作リスペクトにはSNSでも「これが見たかったんだよww」「ずっと大根入れて歩いてたのウケるw」などの声があがっていた。
志々雄陣営に新キャラ・佐渡島方治が登場
新井赤空の息子である青空が現れるも、彼はすでに刀を作ることを辞めていた。人を殺すための刀作りを目指していた赤空とは違い、心の底から平和を願っている青空の姿を見た剣心は、無理に刀作りを頼むことはせず、突っかかる操を抑えて帰っていくのだった。一方で、志々雄陣営にも新たな動きが。京都へ着いた志々雄がアジトへと帰還すると、そこには佐渡島方治(CV:伊藤健太郎)が待っており、花束を持って志々雄を出迎えるのだった。
青空との会話では、ことあるごとに文句を言って突っかかっていく操と、口を塞いでそれを止める念至や剣心の振る舞いが面白い。またそれと同時に、ようやく訪れた平和な時代を享受しようとする青空に刀を作ってもらうのは忍びないと、自ら身を引く剣心の姿も印象的だ。逆刃刀がなければ戦えない剣心にとって、青空の存在は唯一の希望だったはず。大人しく身を引くことは簡単なことではなかったはずだが、それでも相手の気持ちを優先しようとする優しさが垣間見えたシーンだった。これにはSNSでも「青空の言うことももっともだけど、一本くらい作ってくれないかな?」「剣心優しすぎ」などの声があがっていた。さらにラストシーンでは新キャラの佐渡島方治が登場。オランダ菖蒲の花束を抱えて流暢に花の説明をするその姿から、かなり濃ゆいキャラクターであることが察せられるだろう。さて次回第32話(第二期8話目)「十本刀・張」は11月21日(木)放送予定。期待して待とう!
◆文/岡本大介
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