2013年に放送された櫻井翔主演のドラマ「家族ゲーム」(フジテレビ系)。かつて映画で松田優作が、ドラマで長渕剛や鹿賀丈史が主演を務めてきた名作を、「3年A組-今から皆さんは、人質です-」(2019年、日本テレビ系)の武藤将吾氏が現代向けに新たに解釈した同作が今、FOD・TVerで順次無料公開され、注目を集めている。現在無料公開中の第7・8話では、いよいよドラマの舞台・沼田家が大崩壊…。放送から11年経っても色あせることのない強烈さで視聴者を引き込んでいる。(以下、ネタバレがあります)
櫻井翔“吉本”の「結果発表」が沼田家崩壊の引き金に
原作は、1981年に「第5回すばる文学賞」を受賞した本間洋平氏の同名小説。「東大合格率100%の天才家庭教師!」という触れ込みの家庭教師・吉本荒野(櫻井)が、高校進学すら危うい沼田家次男・茂之(浦上晟周)を予測不可能なやり方で教育していく。
だが、吉本のやり方は常軌を逸していた…。一茂(板尾創路)の不倫問題、長男・慎一(神木隆之介)の成績急落問題に加え、第7話では母・佳代子(鈴木保奈美)が株で莫大な損失を抱え、沼田家のひずみが一気に拡大。そんな中、第8話では「結果発表」と題し、吉本が裏ですべての糸を引いていたことをあっけらかんと告白する。この最後の一撃により、なんとか形を保っていた沼田家はついに崩壊を迎えるー―。
「家庭崩壊は環境づくりの一環です」
初回から、吉本による一連の暴力的なシーンや茂之が学校でいじめられるシーンなどかなり過激な描写も登場する本作。その真骨頂と言えるのが、第8話の沼田家崩壊シーンだ。
ここに至るまでの最悪の展開がすべて吉本の描いたシナリオ通りだったことを知り、絶望する沼田家の面々。一茂が「お前の目的はなんだ」と怒鳴ると「もちろん、慎一くんと茂之くんの教育です。家庭崩壊はその環境づくりの一環です」とニコニコ。這いつくばうようにして家庭崩壊の現実に直面する沼田家の面々とはあまりに対照的だ。