コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回は、「コミックNewtype」にて連載されている『男子校の生態』(KADOKAWA刊)の1エピソード『男子校吹奏楽部の演奏会で女装してた話。』を紹介する。作者のコンテくんが、10月13日にX(旧Twitter)に本作を投稿したところ、2000件を超える「いいね」やコメントが多数寄せられた。本記事では、コンテくんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
定期演奏会の“女装枠”のはじまりの物語
定期演奏会リハーサルの舞台裏で、「コンテさんって定期演奏会でずっと…女装ばかりしてますよね」と後輩に話しかけられたコンテくん。後輩は「7人の小人」、コンテくんは「白雪姫」のコスプレをしてリハーサルに臨んでいる。
後輩からの言葉に「あー確かに中学1年生からずっと女装ばかりだ」と納得したように返事をするコンテくん。吹奏楽部の定期演奏会では曲中に行うパフォーマンスが人気であり、コンテくんはその“女装枠”を任されることが多かったという。
「女装に恵まれた体型維持してますし、恥じらいもなく女装をこなしてて『男子校界の女装王』ですね」と言われたコンテくんは、高校2年生当時は156cm43kg。童顔で色白・体毛も薄く、まさに『男子校界の女装王』そのもの。
「初めての女装からノリノリでしたか?」と聞かれ、「いや最初はそうでもなかったよ。初めてしたのは…」と、中学1年生の春を思い出す。
吹奏楽部へ入部して、ホルンパートになったコンテくん。そこで、中学2年生から高校3年生までの先輩たちに温かく迎えられた。
しかし、当時のコンテくんは「一気に5人お兄ちゃんができた気分だ」「…緊張する」とカチコチに緊張している様子。
そんなコンテくんを見て、「この子絶対演奏会で女装やりそう…」と先輩たちから、じーっと視線を向けられて…。
この男子校を描いた漫画を読んだ人たちからは、「あまりにもオンリーワンすぎる」「男子校の逸材」「ほっこりするエピソードで笑顔」など、多くのコメントが寄せられている。
本作を通して「男子校を2周目している感覚」に
――『男子校吹奏楽部の演奏会で女装してた話。』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
男子校には独特の「男子校ノリ」というのがあるのですが、誰しも最初から男子校ノリができるわけではなくて、少しずつ男子校の空気感に触れていくことで身につけていきます。僕の場合、中学1年生の夏に行われた演奏会での女装がきっかけになって、男子校ノリを一気に獲得できた気がします。「俺の女装、見ろ!」みたいな……(笑)。それを得たときの心境や葛藤は明確に覚えていたので、それを漫画にしたら面白いのかなと思って描いてみました。これまでに女装は魔法使いサリーちゃん、キャンディーズ、タンゴの踊り手、ピーチ姫などいろいろやってきたので、機会があればまた描きたいですね。
――本番前に白石先輩が、コンテさんの背中を優しく押す場面に心を打たれました。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
中高一貫の男子校に通っていて、その中でも吹奏楽部は中学1年生から高校3年生まで一緒に活動する体育会系の文化部でした。当時中1だった自分にとって、高3の白石先輩はめっちゃ大人で、憧れでもあったんです。一般的に中1と高3が一緒に活動する機会って他の学校ではなかなかないと思うので、そこの部分はリアルに描けるように当時を思い出しながらこだわりました。僕にとって男子校の先輩は、嫌味なくはっきり言ってくれる頼りがいのある先輩たちで、漫画の中でもあるように「お前の笑顔はひきつっている」と言われたときは、はっとさせられました。そういう男子校ならではの先輩と後輩のやりとりに注目してもらいたいですね。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
普段男子校の制服ばかりを描いているので、描き慣れていない女装の衣装描くのは苦労したのですが、楽しかったです!そういう意味では白石先輩と踊るシーンは描きがいがあって気に入っています。踊り終わったあとに言われた「やりきるとなんか面白い」は今でも胸に残っている言葉で、それを締めの言葉として配置できたのはよかったです。中1初期は男子校の刺激が強すぎて楽しすぎたので、それを漫画にできたのが嬉しかったです。
――普段作品のストーリーはどのようなところから着想を得ているのでしょうか?
当時の写真を見ながら思い出すことが多いです。高校3年生のときに卒業アルバム委員会に所属していて、担任の先生に頼んで6年分の写真をもらっていたんです。その膨大な写真データが今、時を超えて役に立っています(笑)。あとは同級生や先輩後輩と連絡して、当時の思い出を話したりして着想を得ることも多いです。あまり話したことがなかった同級生からも連絡がくることも増えて、なかなか不思議な体験をしています。男子校を2周目している感覚に陥りますね(笑)。
――作画の際にこだわっていることや、特に意識していることはありますか?
水彩っぽい色合いにはいつもこだわっていますね。元々そういう表現が好きだったのもあるのですが、読者さんに「男子校のやんちゃな感じと、淡い色合いのギャップが好きです」と言ってもらえることが増えて、より意識するようになりました。
――今後の展望や目標をお教えください。
クリエイターとして「いつか地元広島の仕事ができたらいいなぁ…」とふわっと思っていたのですが、漫画家として『男子校の生態』でそれが叶うことができました。次の目標として「今の仕事をさらに盛り上げて、維持していくこと」だと思っています。そのために男子校の男子たちにたくさん会って、いろんな生態をもっと描いていこうと考えています。今も新作描いているのですが、男子校は本当に奥深い。いつのまにか10巻くらい描いていた…みたいなことを目指していきたいですね(笑)。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
いつも読んでくださりありがとうございます!『男子校の生態』は男子校あるあるというわけではなく「こういう男子校があるよ〜」くらいのゆるい感じで描いています。なので「こんな世界もあるんだ〜ウケる〜」みたいなノリで読んでくださると嬉しいです。そんな心地いい男子校ノリをお届けできるように僕も頑張ります!
『男子校の生態 (2)』を読む
作者X(旧Twitter):コンテくん
▼「コミックNewtype」で連載中の漫画『男子校の生態』はこちら▼
https://comic-walker.com/detail/KC_005047_S/episodes/KC_0050470000100011_E?episodeType=first