広海を優しく包む優希の行動が温かい
アメリカの大学に進学するも挫折して優希らのいる大学に編入してきた広海。虎之介が付き合ったアルバイトもうまくできず「巻き込んじゃって」と詫びたが、虎之介は「そんなこと言わせちゃった」と優希らの前で寂しそうに明かした。
その話を聞いた優希は広海を探し、「あったかいものでも飲みに行こう」と誘った。広海は「靴下は左右同じ色を履くもの。左右違う色を履いたっていい、そう思えてたころの僕はもういない。中途半端で格好悪い。自分の人生の話をたった数万で売るのが嫌でインタビュー受けるのを躊躇(ちゅうちょ)してる。本当格好悪い」と吐露。
それに対して優希は「ダメだったかもしれないけど、それは過去の自分に向き合っただけだよ」と励ました。
増田のインタビューを受けることにした広海は、増田と出会えて、変なヤツと指さされることもなく過ごせた時間が“居場所”だったと感謝した。実は増田も小説を書くことを挫折して「もう特別じゃない」と思い、社会になじもうとして何度も失敗を繰り返していた。そのことから広海に厳しい言葉を投げてしまったのだった。
孤立してしまうことがあった過去。でも、いまは優希や虎之介らがいる。
ただ、「二つで一つ。靴下と一緒。誰かと生きるって、2人で一つ。僕はたぶん、時々無意識に相手とは違う色の靴下を履いちゃう。でも2人で一つだから、あの人たち変だねって相手の方も指さされる。そういうのが怖いから」という思いが広海にはあった。
そんな広海をコンビニに連れ出した優希は、一緒に靴下を買い、その片方ずつを交換した。「変かどうかは誰かに決められるものじゃない。自分で決めるものだよ」と優希。続けて「それに自分の靴下の片方を誰かが持ってるって思ったら、なんか、“ある”って実感湧かない? 嫌なものに取り込まれそうになったときに、こんな状況だけど、そういえば私の靴下の片方、今あの人の家にあるんだよなと思ったら、自分ちゃんと“ある”って気しない? 徳永くんがちゃんとあるって、私知ってるから」と言った。
自分で決めればいい。でも自分が“ない”という不安を、“ある”と他者が知っていてくれる心強さ。ギフテッドである広海の象徴の一つだった靴下の交換で表したエピソードに、じんわりと心が温まり、視聴者からは「凄かった。良かった」「互いの信頼を感じる」「愛しすぎる」と声が寄せられた。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
ビクターエンタテインメント
発売日: 2024/02/07