“冷たい炎”を表現できる俳優の非凡な演技力
1983年6月17日生まれの二宮。いつまでも老けない印象もあるが、41歳になった“ニノ”は画面に映るだけで『何かありそう』と思わせる。主役級の二宮が、ネット配信ドラマに突如登場しているのを知らずに見たら驚くだろう。高野はうっすらとヒゲをたくわえ、小綺麗ながらもワイルドな印象。11月6日に都内で行われた今作のプレミアイベントで二宮の乱闘シーンがあることを知ったファンは「やはり…ただの警察官僚ではない…」「乱闘!?白ニノなの?黒ニノなの?」と身構えて心の準備を始めている。
今作への出演は、他でもない主演の桐谷から「この役はニノしかおらんねん」という度重なる熱烈オファーで決まった。先述のイベントで桐谷は、二宮に対し「『インフォーマ』っていう作品にある、“冷たい炎”を表現できる数少ない俳優さんだと思っていて。だからやってほしくて、ニノが出ない未来がちょっと考えられなくて。本当に感謝でいっぱいです」と語っている。
二宮は“冷たい炎”という、相対する真逆の言葉を成立させてしまう男なのだろう。笑いながら涙を見せたり、心の中は悲しみでいっぱいなのに静かな怒りを露わにしたりする繊細な心の“二面性”を同時に表現できるのが、二宮の非凡な演技力だ。桐谷との出会いは二宮主演ドラマ「流星の絆」(2008年放送、TBS系)。主人公の有明功一は弟・泰輔(錦戸亮)と妹・静奈(戸田恵梨香)を守りながら詐欺師として生活し、幼い頃に両親を殺した犯人に復讐を企てる長男という役だった。家族と過ごしているときの柔らかな表情と、ラストのあたりで犯人と対峙したときの恨みと悲しみに満ちた顔は別人のようであり、演技の幅広さを印象付けた。
二宮と桐谷は映画「ラーゲリより愛を込めて」(2022年公開、瀬々敬久監督作)と、映画「アナログ」(2023年公開、タカハタ秀太監督作)でも共演している。「アナログ」はビートたけしが書き下ろした恋愛小説を原作とした作品で、デザイナー・水島悟(二宮)がカフェで出会った携帯電話を持たない女性・みゆき(波瑠)と関係を深めていくラブストーリー。桐谷は悟の親友・高木役を演じた。公開時のポスターで、悟は涙を流しながら口元は優しくほほ笑んでいる。好きになった女性と、ある日突然連絡が取れなくなった悟の「会いたい」気持ちが込められた複雑な涙。ここでも主人公の“二面性”が一瞬で分かる演技が切り取られている。
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発売日: 2024/06/19