コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、カドコミで連載中の野良おばけさんが描く『165185』をピックアップ。
野良おばけさんが2024年11月20日にX(旧Twitter)で本作を投稿したところ、2.9万件を超える「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、野良おばけさんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描く際のこだわりについて語ってもらった。
身長差カップルの温かなラブストーリー
身長165cmの日下部 誠(くさかべ まこと)は、高校の卒業式の日に身長185cmの同級生・遠山 聖(とおやま ひじり)に告白する。思いを告げ悔いはないと思っていた誠だったが、告白は予想外に成功。二人は恋人同士となった。
同じ大学の別の学部にそれぞれ通う二人は、穏やかな日々を過ごしていた。ある日、別の大学に通う聖の友人が誠に会いに来る。最近の聖の動向が気にならないのか、と誠を心配してやってきたが、特に気にする様子のない誠は、聖からの電話を受け土曜日に出かける約束をする。
土曜日、待ち合わせ場所で会うなり、聖は来週に迫る誠の誕生日のプレゼントだといって時計を渡す。最近会っても20時に解散していたワケは、短期の深夜バイトをして時計を買うためだったとわかる。
その後、お茶と読書ができるお店に行く二人。集中し無言で読書をしても平気な空気感に、聖はとても居心地が良いと感じていた。そして本を選んでいた際、棚の上に積まれた本が崩れ落ちた時には、しっかりと自分より体の大きな聖を守ってくれる誠に、聖はドキドキするのだった。少しずつお互いの距離を縮めていく二人は、なかなか手も繋げずにいた…。
作品を読んだ読者からは、「丁寧に関係を深めていく2人が良過ぎる」「読んでいて温かな気持ちになる」など、反響の声が多く寄せられている。
作者・野良おばけさん「なるべく誰も損しない世界がいいなと思い、今のような世界観に…」
――『165185』は、どのようにして生まれた作品ですか?きっかけや理由などをお教えください。
最初は趣味の一環で、SNSで連載していました。特に、攻めの誠くんというキャラに、見た目と中身のギャップが欲しかったのと、せっかく趣味でやるなら、なるべく誰も損しない世界がいいなと思い、今のような世界観になりました。
――今作を描くうえで、特に心がけているところ、大切にしていることなどをお教えください。
大きくは2つあります。1つ目は、本作を社会的な物語にしないことです。彼らがいるのは、私たちの世界より少し変わっていて、誰が誰を好きであってもいいよね、という世界です。社会的な物語にしない、というのは、例えば同性愛について現実と比較して論じたり、同性愛を非難するキャラクターとそれを咎めるキャラクターを出して啓発的な物語にする、などという内容にしないことを指します。私は、現代社会の問題をコンテンツにするという形ではなく、これからの社会がこうあればいいという姿を普通に、当然に描く、ということで未来へ進みたいと思ったのです。
2つ目は、キャラクターになるべく対話をさせるということです。漫画としての面白みという理由もありますが、メインの2人はなるべく「察して、分かってほしい」を越えた、対話での相互理解を目指して欲しいと思いました。相手のいいところを解るためには、相手の発言や振る舞いを見ないと判断できないので…そして相手にいいところがあれば積極的に認めていく2人にしました。自分はそれを他者へのリスペクトと捉えていますが、それは恋愛において、もしくは恋愛以外においても、人を好きになるための要素として性別にかかわらないものだと思っています。私はこの本を読んでもらう読者さんを、恋愛をする人、しない人、男性が好きな人、女性が好きな人…様々な方を想定しています。たくさんの方に彼らの恋愛を応援してもらうためには、「どの性別の人が好きか」「どんな恋愛か」とかより、もっと始まりの、根っこにある「人を好きになって大事に思う」という部分に「解る」と納得してもらえるようフォーカスする必要があると思いました。
――今回の作品のなかで、特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
1巻の5話で、誠くんの服装のイケてなさを揶揄うキャラクターが出てきます。誠くんは一旦これを心にしまうのですが、結局のところムカついてもいるという展開にしました(笑)誠くんは優しいキャラクターですが多面的に描きたかったのと、やはり優しいだけじゃない方が私たちと地続きな気がして。
――普段漫画を描かれる際、ストーリーやキャラクターはどんなところから着想を得られることが多いですか?
特にこれといったことはしておらず…ふわーっと降りてくるのを待っています。歩いている間に突然新作のネタが降りてくることもあります笑
――野良おばけさんご自身や作品について、今後の展望・目標をお教えください。
目標は大きく3つあって、1つは重版して10巻以上続く漫画を描くこと。2つ目は連載作品で賞をいただくこと。3つ目はメディアミックスすることです。現状青年漫画、女性漫画、BL漫画を垣根なく描いているので、これからもジャンルに縛られず面白いと思えるものを作れるよう頑張りたいです。
――最後に、作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
いつも応援ありがとうございます!これからも頑張って描いていきますので、よろしくお願いいたします!
『165185』を読む
■作者X(旧Twitter):野良おばけ[@noge__]
■作者Instagram:野良おばけ[@nolaobake]
■作者公式サイト:漫画家 野良おばけ
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『165185』
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『赤と青のハザード』