櫻井翔が日テレ『戦後80年プロジェクト』メッセンジャーに就任「記憶に深く刻まれるような記録を積み重ねて参ります」
櫻井翔コメント
「戦争っていうのはね。始めたら戻れないんですよ。だから、始めたらダメなの。やっているうちになんで戦争しているかも分からなくなる」これまでの取材の中でも、強く印象に残る言葉です。始まってしまった、止めることが出来なかった、戻れなかった、引き返せなかった。戦争が始まり行く様子を知る方の、後悔にも近い思いが滲み出る言葉でした。
雨の神宮外苑競技場で学徒出陣を見送ったこと。戦中、戦後のこと。目の前に景色が広がるかのようなお話を伺ったのは3年前。そして、昨年、旅立たれました。2009年8月、長崎での取材から始まり、およそ15年。多くの方に戦争についてのお話を伺ってきました。
目に涙を浮かべながら伝えて下さる方。眼球を動かしながら、まるでいまその景色を見ているかのように伝えて下さる方。橋の手前でお話を聞いた妹さんの先には、見送ったお兄さんが見えているかのような時もありました。思い出すのも辛いことを必死に伝えて下さった方々。全ての方に共通する強い思いがあります。「二度とあのようなことがないように」。
1945年から80年が経とうとしています。あの時代を、白黒写真の遠い過去の話にしないように。いまと同じような"日常"の中にいたと感じられるように。そして、いまの自分たちは、その地続きにあるのだと感じられるように。記憶に深く刻まれるような記録を積み重ねて参ります。
日本テレビ報道局長・伊佐治健コメント
3年前の12月、ヨーロッパの国際会議から戻った政府関係者が、声を潜めて口にした言葉はいささか大げさに聞こえました。「ロシアは本気だ。“第 3 次世界大戦”になるかも知れない」。翌年、ウクライナ侵攻は想像をはるかに超える全面的な攻撃で始まりました。国際社会の平和と安定を守るはずの国連安全保障理事会・常任理事国のロシアが、武力による領土侵略を堂々と行い、第 2 次世界大戦後の国際秩序は根底から揺らいでいます。3 年目にはついにアジアから、北朝鮮兵士も戦闘に加わって、世界戦争の恐れは現実味を帯びてきました。
そんな緊張感のもとで迎える戦後80年。“力による現状変更” の試みは私たちのすぐ近くでも進んでいます。台湾、フィリピンの近海で、中国が軍事的威圧を強め、武力衝突の危機に日本の平和も脅かされています。軍事的つばぜり合いが、やがて偶発的な衝突を招き、最後は意図しない戦争に突き進んでしまう事があることも、歴史の教訓です。
“いまを、戦前にさせない” ために、報道の仕事にたずさわる私たちが今やるべき事は何か。戦争体験者に取材を続けると同時に、戦争の予兆を毅然として見逃さない。80年前、事実を隠し、戦争をあおり立てたメディアの罪もよく心に刻んで、伝えるべき事、残すべき映像を力の限り発信したいと考えます。