神木隆之介が主演を務めるドラマ「海に眠るダイヤモンド」(毎週日曜夜9:00-9:54、TBS系)が、12月22日(日)放送の「海に眠るダイヤモンド 最終回2時間SP」(夜9:00-10:50、TBS系)でいよいよフィナーレを迎える。第8話では、炭鉱で再び石炭が採れ、端島が復活したら一緒になることを誓い合った鉄平(神木)と朝子(杉咲花)だったが、最後にいずみ(宮本信子)の口から語られたのは、鉄平がその日以来二度と端島に帰ってこなかったという衝撃の事実だった。
なぜ鉄平はリナ(池田エライザ)と共に島を去り、朝子の前に二度と現れることがなかったのか。そして、現代の玲央(神木/2役)といずみ、さらに2人を取り巻く人々の物語にはどのような結末が訪れるのか。WEBザテレビジョンでは、本作を手掛ける新井順子プロデューサーにインタビューを敢行。これまでの放送回で描かれた名シーンの舞台裏や、最終回の見どころなどについて語ってもらった。
――このドラマの発端となったのが、脚本の野木亜紀子さんと新井さんが長崎旅行へ行かれたことだったと以前伺いました。最終回まで完成された今、新井さんご自身の長崎への思いは結実されましたか?
そんな個人的な話は全然ないんですが(笑)、たくさんの元島民の方々にお話を伺って、撮影にもご協力いただきしましたし、現在東京にいらっしゃる島民の方もたくさんいて。そんな皆さんのお話を元に、実際起こったこととフィクションを混ぜながら野木さんが壮大な物語を描いてくださいました。
現代と過去をリンクさせていくのはなかなか高度なテクニックで、視聴者の皆さんも「このドラマどこに連れて行かれるのかな…」という感じだったと思うのですが、8話からようやく物語がしっかりリンクするようになって。考察や謎解きしがいがあるというか、複雑だからこそ見ごたえがある作品になったかなという気はしています。
――回を追うに連れて物語が盛り上がってきていますが、新井さんの元にはどのような反響が届いていますか?
先日放送された6話では、「もう6話が最終回でいいんじゃないか」みたいなことはすごく言われました(笑)。「7話が(予告の時点で)嫌な予感しかしない」って。こちらもそういう風に予告を作っているんですが、6話って物語の中では第2章の始まりと言える回なんです。
実は5話から6話の間って4年くらい時間が進んでいるんです。第2章ということで新たな展開も考えていたので。あと、6話ってすごく平和な回なんですよ。台風が来たり、夏八木(渋川清彦)が盗みを働いたり、労働闘争が起こったり、戦争をテーマにした話があったり、毎回盛りだくさんな中で唯一平和な回になっていて。
ほっこりしすぎたかなというか、「刺激がなかった」と言われるかなとも思ったんですが、最後の鉄平と朝子の告白シーンがものすごく評判が良くて。「お芝居がヤバい」とか「何なんですかあのお芝居は」とか「どうやったらああなるんですか?」ということを、本作に出演されていない俳優さんからもよく言われました。そこは思わぬ反響でした。
――6話の告白シーンは、視聴者の方々からも「名シーンだ」「これアドリブなの?」といった声が相次いでいましたが、このシーンはどのような意図で撮影されたのでしょうか?
告白のシーンについては、神木さんから「すごい望遠で、長回しで、ドキュメンタリーっぽくやりたい」という提案があったんです。「みんなが『これどうなっちゃうの?』『がんばれがんばれ!』って思うようにしたい」ってずっと仰っていて(笑)。まさに“神木演出”のシーンでした。
これは監督から伺ったんですが、監督はカメラマンに「下手に撮ってくれ」と言ったそうなんです。きれいに撮らないでちょっと素人が撮った風にしたいという思いがあって。それプラス、神木さんがいつ「好きだ」と言うのかは本当に誰もわからない状態だったので、ずっと一連で撮影していました。
神木さんはシーンを撮り終わった後も、その現場を見ていなかった人が現れたら「今こういうシーン撮ったんだけどすぐ見てほしい!」って仰ってましたね。それくらいご本人的にもチャレンジングだったのか、気合を入れていたのかもしれません。
杉咲さんも、告白されて思わずカメラに背中を向けて涙を拭く瞬間があるんですが、どういうリアクションをするかというのも誰にも話をされていなくて。杉咲さんが感じたままに、涙がポロッと出てきちゃったんじゃないかなと思います。
杉咲さんが本番中思わぬところで涙が出てしまうことは別のシーンでもあって。ご本人が「すみません泣いてしまいました…もう一回やった方がいいですよね?」と仰ったんですけど、監督が「そのままの方が良いから」とOKにしていました。本当に心でお芝居されているんだなと思います。
放送ではちょっと短くなっているんですけど、本当はもっといろいろなタメがあったり、「あの、その…」みたいなせりふがあったり、5分くらい(カメラを)回しているんです。フルバージョンもお届けしたいです。ディレクターズ・カット版でぜひ(笑)。
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