<海に眠るダイヤモンド>新井順子Pが語る大反響シーンの裏側と最終回「鉄平の告白シーンは神木さんの演出でした」

2024/12/21 15:00 配信

ドラマ インタビュー

「いかに過去と現代がリンクできるかは常に考えていた」


――6話では鉄平と朝子の告白シーンだけでなく、賢将から百合子への告白シーンもあり、そちらもとても素敵なシーンでした。撮影時のエピソードやこだわったポイントについて教えてください。

監督の狙いで、日常の中でプロポーズしたいという思いがあって。結構周りにも人がいる中での告白シーンになっています。リハでは意外と普通に告白していたんですけど、OAでは賢将が抱きしめようとするから百合子が「やめてよこんなところで」と押し問答みたいになるんです。

6話は賢将のものと鉄平のものでプロポーズが2つあるじゃないですか。この差をどう付けるかということは、神木さん含めて考えていたんだろうなというのがあって。賢将が正統派で来るから、差を出すためにも「恋愛リアリティーショーみたいにしたい」という発想が出てきたのかなと思います。

賢将と百合子のシーンでは、2人のアドリブは無かったですけど、それを見ている神木さんと杉咲さんが2人で喜んでいたのはアドリブも入っています。あんなにキャッキャキャッキャしたりバンザイしたりしていたのはかわいかったですね(笑)。

“幸せな6話”を象徴する、賢将(清水尋也)から百合子(土屋太鳳)へのプロポーズシーン(C)TBSスパークル/TBS



――朝子たちが中心となり緑がない端島に屋上緑地を作るエピソードも印象的でした。「緑がない端島」の姿は、ある意味で現代の東京の姿とも重なってくるように感じますが、どのような意図でこのエピソードを描かれましたか?

屋上緑化は実際に端島で行われていたことなので、それを物語の中で生かしたいとなった時に、朝子にその仕事をさせようとなりました。現代でも(都市部を中心に)屋上緑化は進められているので、最終的にそことも繋げようとなりましたが、先に端島で起きたことがベースにあって設定されました。

屋上緑化に限らず、「いかに過去と現代がリンクできるか」ということは常に考えていたので、その一つである屋上緑化は「朝子の設定として使えるね」となって取り入れました。

実際の端島でも行われていた屋上緑化に従事する朝子(杉咲花)(C)TBSスパークル/TBS



――7話で描かれた炭鉱火災は、端島を描く上では外すことができないストーリーでした。実際に火が出ていたこともあり、撮影は過酷なものとなったのではと思いますが、現場の様子について教えてください。

7話の撮影は本当に大変だったんです。ほぼほぼ坑内か建屋にいるシーンで、坑内の撮影は(埼玉の)飯能と(兵庫の)姫路の方で行っていたんですけど、丸4日間くらい坑内に入って撮影していました。坑内はものすごく暑いという設定なんですけど、実際の現場はめちゃめちゃ寒くて息が白くなってしまうくらいで。

朝の8~9時くらいから夜まで坑内にいると、だんだん感覚が鈍ってくるというか。本当に炭鉱で作業されていた方たちの苦労が身に沁みました。爆破のシーンなども結構派手にやっていまして、実際に坑内に火を入れて撮影もしていましたが、よくやらせてくれたなと思います(笑)。

他にも「ここに放水してください」とか「ここを粘土で固めてください」とか、もうお芝居という感じじゃなかったですね。皆さん言われるがままに作業をしていたので、撮影している時は「今どこのシーンなんだろう」という感じだったと思います。なので、キャストやスタッフの皆さんは放送を見て「繋がってる!」となったんじゃないかなと。

7話の坑内火災のシーンは、撮影も過酷なものに(C)TBSスパークル/TBS



「ちゃんぽんの島」端島を表現する上で欠かせなかった“方言”


――本作では杉咲花さん演じる朝子の役柄が非常に印象的で、特に「端島弁」のナチュラルなせりふ回しには毎回驚かされています。各キャラクターごとに方言の強さが違っているようにも感じますが、そうした方言のせりふでこだわられたのはどんなところでしょうか。

朝子は幼なじみである鉄平、賢将(清水尋也)、百合子(土屋太鳳)とは違い、1人だけ一度も端島を出たことがないため、フルで方言を話しています。一方、賢将は小学校4年生の時に東京から来たという設定なのでもともと標準語になっていて、鉄平と百合子は大学で島を離れていた時期があったのでなまりは強くない。

また、鉄平に関しては「外勤」という立場上いろんな方と接することがあるので、標準語にしようと決めました。ただ、6話くらいからちょこちょこなまり出しているんです。ナチュラルすぎて皆さんあまり気づいていないかもしれませんが(笑)。

その他のキャラクターでは、進平(斎藤工)は朝子と同じくらいなまっています。一平(國村隼)は関西なまりが入っていて、ハル(中嶋朋子)は長崎なまり。そして、端島は「ちゃんぽん」の島なので、鉱員役の方々には「皆さんそれぞれ自分の地元の言葉でしゃべってください」とお伝えしています。

台本上は全部標準語になっているんですけど、鉱員として端島に出稼ぎにやって来た人々はそれぞれルーツも異なりますので、それを方言を通して表現しています。

朝子を演じた杉咲花のナチュラルな端島弁にも絶賛の声が多く上がった(C)TBSスパークル/TBS



――いづみの正体が朝子であることが判明してから、視聴者の皆さんの盛り上がりも一気に増していきましたが、その時に1話からさまざまな伏線があったことに気付いた方も多くいました。まだバレていない伏線などあればぜひ教えてください。

食堂で花瓶に花をさしていたのが現代での仕事に繋がっているのはわかると思いますが、ヘアピンを付けていることと、キラキラしたものが好きなこととなども気づいた方が多かったみたいですね。

それと、皆さん「きくらげ」って気づいていましたか? 食堂ではちゃんぽんにきくらげが入っていたんですが、1話で和馬が「何できくらげ入れるかな~」と文句を言っているシーンがあって。そこも繋がっています。

あとはカステラが好きってことですかね。1話からカステラは出ていたんですが、朝子がカステラが好きだとわかるのは6話だったので、気付いた方はあまりいないかもしれません。

いづみ(宮本信子)の付けていたヘアピンも意外な伏線に(C)TBSスパークル/TBS