――池田エライザさん演じるリナは、本作ではかなりの「呪い」を背負ったキャラクターとして描かれてきましたが、撮影時の池田さんの印象的なシーンなどありましたら教えてください。
2話の台風のシーンでは、何度も雨風にさらされながらも、進平との関係を予感させる非常に良い表情を切り取れたと思います。憂いのある表情がとても良くて。夏なのにずっと濡らされていたので待ち時間には震えていましたが、本番はそんな素振りは見えず女優魂を感じました。最終話でも圧巻のお芝居です。
――リナの素性について、「博多のクラブ・フロリダから逃げてきた」という事実以外の詳細がここまで語られておらず、「結局リナは何をして追われているのか」などは謎のままです。最終回ではリナの過去はどこまで明らかになるのでしょうか。
答えると楽しみがなくなると思うので(笑)、ぜひ放送をご覧いただければ!
――台本においては何げないせりふやシーンだったものが、映像となることで何倍にもイメージが膨らんだ印象を受けました。新井さんの中では、そうしたシーンは想像以上の仕上がりだったのか、それとも思い描いていた通りの仕上がりだったのでしょうか?
やっぱり「ここがこうなるんだ」と思ったシーンは多かったです。特に8話の石炭が出たシーンは、台本上ではト書きが多かったんですが、すごく感情豊かに撮られていたので非常にグッと来ました。
アドリブか演出かはわかりませんが、鉱員たちが子供の頃の鉄平にやっていたようなことをしていたり、とにかくキャストの皆さんの顔が生き生きしていて。撮影終盤に撮ったシーンだったので、距離が近いというか、チームとしての結束感がよく表れていた感じがしました。
それから、最終回に閉山式のシーンがあるのですが、台本に「北村が一人座り、たばこを吸っている」というト書きがあるんです。そこで超長回しで撮ったんですけど、それを見てスタッフが泣いていました。北村は一言もしゃべっていないのに、ただただ建屋を見てたばこに火を点けて吸うだけなんですけど、それがどういう形で繋がるのか楽しみです。
やっぱり(北村役の中村シュンさんのように)人生を経験されてきた方の表情とかニュアンスは、20~30代には出せない貫禄、辛さ、寂しさのようなものがありました。塚原監督も現場に下りてきて「泣きました~!」って仰っていました(笑)。
――撮影するシーンが多く、ロケーション的にも大変な部分も多かったと思いますが、一方で現場にはすごく和やかな時間が流れていたのが印象的でした。そうした現場の雰囲気は誰が率先して作っていたのでしょうか?
キャスト陣はやっぱり神木さんが話の中心になっていてくださって。あとは百合子と朝子が仲良しなので、学校の休憩時間みたいな感じになっていました(笑)。現場にはベースの後ろにテーブルがあるんですが、そこでみんなが座ってしゃべっているという。みんな仲良しです。
――本作は積み上げられてきた「過去」へのリスペクトを感じさせながらも、玲央のような若い世代や「未来」に繋いでいくことへの意識も感じます。そうした思いは物語を作るにあたって込められたのでしょうか?
そうですね、時代は繋がっていて、自分の道の先にも未来はあって。未来が変わっていくのかどうか、それともうまくいかないのか。
登場人物たちには、現代のように便利なものはそこまで無い時代にキラキラしたものがあって。8話で玲央が「俺もダイヤモンドが欲しい」って言いますけど、玲央は(自分にとっての)ダイヤモンドを見つけて、どうなっていくのか? このドラマを見たことで、そうした自分の人生と地続きなもの、未来へ繋がっていくものを見つけてもらえたらいいなと思います。
――最後に、本作をご覧になっている視聴者の皆さんへ向けてメッセージをお願いします。
すべての謎が解き明かされまくる2時間SPとなっています。時々視聴者の方から「私は過去派」「私は現代派」みたいな話を聞きますけど、皆さん興味のあることや注目している人が違っていて。現代では新しいキャラクターも登場して、「本当に人生は地続きだな」という感じです。
ぜひ最終回を見ていただいてから、もう一回1話から見ていただきたいです。「だからこういうことになったのか」となるはずなので。考察されている方はご自身の考察合っているのかご確認いただき、されていない方はただただ登場人物たちの人生を見届けていただければと思います。
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