尾上松也SPインタビュー「『笑点』に出演できるなら絶対に…」
歌舞伎俳優としてはもちろんのこと、TVや舞台など幅広いジャンルで活躍している尾上松也。10月9日(月)に放送されるSPドラマ「BS笑点ドラマスペシャル 桂歌丸」(夜7:00-8:54、BS日テレ)では“笑点の顔”桂歌丸を演じる。“クソバカ真面目”な落語家・歌丸の波瀾(はらん)万丈の半生を描いた本作の見どころなどを、撮影を終えたばかりの松也に聞いた。
歌舞伎と落語に通じるものを感じる
――クランクアップを迎えられた、率直なお気持ちを教えてください。
撮影は短い期間でしたがいろいろな出来事が起こるドラマでしたので、無事にやり遂げられてホッとしているというのが、正直な気持ちです。
――撮影前には歌丸さんと初対面されて、いろんなお言葉をいただいたということですが、プレッシャーなどは感じましたか?
歌丸さんにお会いするまでは、どのように、どれだけ(ご本人に)寄せていけばよいのかと悩んでいましたが、そういうことから開放されました。
僕が「あのときはどのような感じでしたか?」と伺うと、謙遜されながらも「いやいや、そんな大層なことじゃない」とおっしゃってくださいましたので、自分が思うこの作品の“歌丸像”を演じればいいのかな、と吹っ切れた気がしました。もちろん歌丸さんのフランクな人柄のおかげでもあったと思います。
――そんな歌丸さんを演じる上で、意識されたことはありますか?
はなし家としての空気をまとっていたかったので、言葉や着物の着こなしや所作など、細やかな動きは意識しました。ただ、一番には、歌丸さんが“ただ一つ、落語が大好きだということ”を大切にしましたね。歌丸さんは、紆余(うよ)曲折があっても根本的にはずっと落語のことを考えていらっしゃる方ですので、その雰囲気を一番大事にしました。
――落語にも挑戦されたと伺いました。「普段から歌舞伎と同じ日本の伝統芸能として落語を見に行くことがある」ともおっしゃっていましたが、実際に演じてみていかがでしたか?
今回、それはすごく良かったと思う点でした。劇中でも、今児(松也)の師匠・古今亭今輔(笹野高史)が「歌舞伎を見ろ」と語るシーンがあり、「所作や間、しゃべり方。そういうことを盗んで来い」と。まさにその通りだなと思いましたし、僕がある程度違和感なく落語に挑めていたのはその素養があるのかなと感じました。
ですが、それでも“人を笑わせる”ということがすごく難しくて…。“ここは笑ってほしいポイント”だと思うと意識し過ぎてしまいますね。そこをサラッと演じることが難しかったですし、思いきりすればいい! というわけでもないので、その差し引きが芸道の難しいところだと改めて思いました。
10月9日(月)夜7:00-8:54
BS日テレで放送
脚本=寺田敏雄
演出=雨宮望
出演=尾上松也、水川あさみ、泉ピン子、笹野高史・谷原章介・藤田弓子・渡辺いっけい、駿河太郎・中尾明慶・松尾 諭・柳下 大・桜井日奈子・水橋研二・菅 裕輔・鈴木勝大ほか
※現役「笑点」メンバーも出演