豪快なエイジがウェディングケーキを手づかみで「うめぇ!」
第1話は「天使の羽」。歓声に包まれるボクシング会場のリング上には、史上最速でバンタム級日本王座に挑戦しているエイジがいた。観衆の中にいたスポーツ紙のライター・桃子(小雪)は、次第にエイジの動きに目を奪われていく。その頃、甘いものが好きではない橘がなぜか、祖母の富貴子(八千草薫)、母、叔母にケーキ屋出店の援助を願い出ていた。さらにその頃、とあるケーキ屋では天才パティシエ・小野(藤木直人)が経営者からは辞職を言い渡され、すんなりと受け入れていた。ボクシング会場では激しい打ち合いの末、エイジが対戦者をノックダウン。試合後の控え室で、御褒美のケーキを美味しそうに食べていた。桃子は先輩記者を差し置いて、エイジを取材しようとするが、ジムの若い連中に止められてしまう。激しい戦いで目に障がいを負ったエイジは、引退を余儀なくされたのだ。
第1話はテンポよく話が進み、天才ボクサーだったエイジが電撃引退して偶然出会ったケーキ屋「アンティーク」でパティシエ見習いとして再び立ち上がるところまでが描かれた。エイジは“ケーキが大好き”なキャラクター。イチゴのタルト、レアチーズケーキ、ショコラケーキなどきらびやかなほどに美しくおいしそうなケーキを並べられ、エイジが目を輝かせながらムシャムシャとかぶりつく姿が愛らしい。小野が作った出来の良く美しいウェディングケーキを、結婚が破談になった花嫁と一緒にエイジが手づかみで「うめぇ!」と豪快に食べるのも良かった。漫画から飛び出したみたいな素直で明るい人物だ。
続く第2話は「愛の井戸」。桃子が「アンティーク」にやって来た。いきなり出現したエイジに驚く桃子は、客を装って店に入り、とりあえずお茶とケーキを頼む。ショーケースを睨み付ける別の客・珠美(眞鍋かをり)と緊迫の対峙をするエイジと橘。その時、ようやくケーキを口にした桃子が思わず「おいしい!」と声を上げると、珠美の瞳から、一筋の涙が流れ落ちた。突然の出来事にエイジと橘、そして桃子は動揺する。
このように「アンティーク」には一癖二癖ある客が次々と訪れる。エイジも橘、小野にも隠された過去や秘密があり、徐々に明かされていくミステリー要素もありながら、人間同士、温かい気持ちを交わし合う物語が描かれていく。
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