コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、朝比奈ショウさんが描く『ダサいネイルを「かわいい」私に勧めるな。』をピックアップ。
朝比奈ショウさんが2024年12月2日にX(旧Twitter)で本作を投稿したところ、9.1万件を超える「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、朝比奈ショウさんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描く際のこだわりについて語ってもらった。
「可愛い」は完璧でなくていい
自身の努力で「かわいい」を手に入れた主人公・姫咲のぞみは、メイクやファッション初心者の「生まれつきの美人」である天王寺を助けたことをきかっけに、度々メッセージのやり取りをするようになっていた。
ある日、全身黒コーデを着こなす姫咲に、自分もお洒落の一環として初ネイルをしたとして指先を見せる天王寺。しかし、そのネイルは姫咲から見たらとても下手でセンスのないものに見えた。
お揃いのネイルをプレゼントしてきた天王寺に、姫咲は「完璧でいなきゃ」と思うあまりついひどい言葉を言ってしまう。それでも笑顔で「練習足りてなくてごめん。」と言う天王寺は、「捨ててもいいから」とネイルを姫咲の前に置いて去ってしまう。一人になった姫咲は、自信の発言を後悔する。しかし素直になれない姫咲は、その後も「ひとりでいい」と天王寺とも気まずいまま過ごすのだった。
ある日、クローゼットを開けた姫咲は、自分が幼いころ初めて買ったマニキュアを見つける。当時は誰かと比べて見下すのではなく、ただ可愛くなりたかったことを思い出し、天王寺に最低なことをしてしまったと反省する。
翌日、久しぶりに会った天王寺の手には、何度もネイルを塗りなおしたであろう手荒れが見られ、その努力を知る。姫咲はよれてしまっている天王寺のネイルを自分のアイテムを使って直し、「可愛い」を楽しめることが大事だ、完璧である必要はないのだと言う。
そんな姫咲に対し、「いつか姫咲さんが自分にも優しくなったらいいな」と言う天王寺。驚く姫咲を優しくだきしめ、沢山褒めてくれる天王寺は「いつだって完璧じゃない自分を受け入れられる、強い人間だ。」と、思うのだった…。
作品を読んだ読者からは、「読んでいて胸がいっぱいになって、涙が出ました。」「これだけの心象描写ができるのはスゴすぎ。」など、反響の声が多く寄せられている。
作者・朝比奈ショウさん「心境の対比を特に心がけました」
――『ダサいネイルを「かわいい」私に勧めるな。』を描くうえで、特に心がけた点はどんなところですか?
今作では整形美人である姫咲のぞみの美に対する強いこだわりと執着を、オシャレ初心者でただ「かわいい」を楽しんでいる天然美人の天王寺ルカとの心境の対比を特に心がけました。
――今作のなかで、特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
姫咲のぞみの「無理して完璧にする必要は無いわ。」のセリフです。
何より美に対して厳しい基準を設けて自分を律し周りを評価してきた彼女が、ルカにはその呪縛で苦しんでほしくないという優しい気持ちが詰まった救いの一言です。
――今作では「最初の一歩を笑われる怖さ」について描かれていますが、“最初の一歩”はどんなものでも少なからず怖さを伴うかと思います。朝比奈ショウさんにとって、これまでで一番印象に残っている“最初の一歩”とはなんですか?
自分のオリジナルの漫画を初めて他の人に見せた時です。
読まれている間は期待と恥ずかしさと後悔がずっとぐるぐる体中を駆け巡り、手汗いっぱい握りこんでいた思い出があります。
(読後感想は忘れました。)
――『ダサいネイルを「かわいい」私に勧めるな。』は、『「かわいい」は、ときどき苦しい。』の続編として公開されていますが、今後も続編を描かれる予定でしょうか?
ぜひ描いていきたいと思っています。
――最後に、作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
1話に引き続き2話目もたくさんの方にお読みいただけて心から嬉しい気持ちでいっぱいです。
今後も2人の行先を温かく見守っていただけますと幸いです。