「患者を救う為なら、私は手段を選びません」
そんな薬師丸に、静は「灰原の頼みを断れない事情があるのは察しているが、これ以上の入院は勧めない。薬師丸の掲げる“クリーンな改革”に逆行している」と苦言を呈した。薬師丸は静の経歴や彼がナース志望の若者を支援する財団の理事でもある事をたたえた上で「しかし、ここではいちナースです。病院の指示に従って頂きます」と、静に対してもナースを見下す発言を。だが静は「患者さんを救うためなら、私は手段を選びません」と、きっぱりと告げるのだった。
静は、勝手に灰原を大部屋に移動させ、本来、個室に入るべきだった患者を移した。「何でこんな庶民どもと私が同じ部屋に」と選民意識丸出しで「院長を呼べ」と連呼する灰原。そして「オレを誰だと思ってんだ!」と怒鳴った彼に、静は「おどれが誰か…」とドスをきかせながら距離を詰め、「病気じゃとウソをついて隠れとる、卑怯モンじゃい!」と、ここ一番で飛び出す広島弁をお見舞いした。
その夜、歩は帰宅するなり、灰原を勝手に大部屋に移した静を責めた。自分を含めナースたちにしわ寄せが来て大変だったのだと。静は、薬師丸に訴えても分かってもらえないから実力行使に出たのだ、と告げた後、「(薬師丸は)歩くんとは気が合ってるようですが」と、イヤミを言った。
「NPとしての腕を買ってくれてるだけ。めぐみの手術についても自分の案を採用してくれた」との歩の反論を、静は鼻で笑いながら聞き「今の薬師丸には治せない」と言った。「僕と院長が組んで成功させてみせる!」とムキになった歩を「アナタは医師ではない」と諭す静。プライドが傷ついた歩は「医師と同等の事ができる自信があります!」と大声を上げたが、静は黙って首を横に振った。
イラつく歩に、静は、めぐみが歓迎されないのを分かっているのに何故戻ってきたか分かるか、と尋ねた。めぐみは“心”を取り戻しに来たのだ。だから、手術が成功しても薬師丸が変わらない限り、彼女の心を救う事は出来ない、と歩に告げた。
続けて、静がいつもの「ナースは人を見て…」と口にした途端、遮るように「“人を治す”んですよね!分かってます!!」と、歩はブチギレ。静も「分かってるなら、今のキミはどうですか!?病気ばかりを見ていませんか?」と怒鳴り返し、2人はしばらく無言でにらみ合った。結局、歩は荷物をまとめて寮を出て行ってしまった…。
歩以外の「脈や」の寮のナースは全員クビに
後日、歩はめぐみの病状が思った以上に悪化している事を薬師丸に報告。すると薬師丸は「手術適応外」だとさっさと結論づけた。歩は「諦めるのはまだ早い」と食い下がる歩に、「院長の私が手術に失敗したとなれば、問題になる」と保身に走り、歩のNPの経歴にも傷をつけてしまう、ともっともらしい言い訳をした。自分の案に賛成してくれたんじゃないのかと尋ねる歩に「検討する、と言っただけ」とズルさを見せる薬師丸。
最初から手術をする気がなかったと察した歩は、余計な事をしゃべられる前にこのまま死なせるつもりだったのか、と薬師丸をなじったが、「錯乱した患者の言葉を信じるな」と涼しい顔だ。
薬師丸は歩に「患者1人の命に心を乱される人間であってはならない」と言い、歩は他のナースと違って特別なのだ、と告げた。そして、未提出の先日の契約書はまだ有効だ、と歩の心を刺激した。
一方、薬師丸は、自分と対立する静はもちろん、塔子や吉子(安達祐実)など、「脈や」の看護師寮のナース全員を解雇した。急にナースが代わった事を詫びる薬師丸に、歩は「同僚が誰であろうと、ボクが10人分働ける」と豪語。会話しながら廊下を歩く2人と、スーツ姿の静が擦れ違った。だが歩と静は目も合わせず、お互い無言で通りすぎるのだった。
これまでは、いがみ合いながらも同じ方向を見ていた静と歩。静と仲たがいした後も、彼は薬師丸に「僕ができるのは、今居る患者を見る事だけ」と、“静イズム”な発言をしていた。現在、薬師丸と行動を共にしているのは、彼なりの考えがあると思いたい…。
次回、西東京総合病院がサイバー攻撃を受け、業務が完全マヒとなる。犯人は誰なのか、そして、めぐみの手術は?また、静たちはこのまま解雇となるのか、薬師丸は改心するのか、など問題が山積の最終回。そして、静と歩の仲は、復活して再び“最強バディ”となるのか、別々の道を進む事になるのか。
◆文=ザテレビジョンドラマ部