橘はケーキの味から誘拐当時の記憶を呼び覚ます
続く第10話は「破滅への遺伝子」。クリスマス間近の「アンティーク」で、橘の留守中にやってきた桃子は、エイジと初めて会った時のことを小野に取材する。エイジにはケーキ作りの才能があると話す小野に、エイジは大感激する。
橘が店に戻ってくると、宗像(辻萬長)が来た。2人にとって、12月と言うのは特別な意味のある月。なぜなら幼い橘が誘拐されたのが、この月だったからだ。あるとき、橘はエイジが作ったケーキを一口食べ、誘拐されていたときに毎日食べていたケーキと同じ味がすることに気付く。「親の顔は知らないんだ」とあっけらかんと語るエイジと、橘の幼少期に何らかの関係があるのか、話の展開は最終話の第11話へと続く形で描かれている。
今作は、ケーキ店を舞台にさまざまな人間模様を毎回オムニバスで描くショートストーリー部分と、エイジ、橘、小野の人生にまつわる秘密が徐々に明かされていく大筋部分、そして毎回出てくる美味しそうで美しいケーキという三本柱がバランスよく立っているドラマである。普段、軽口ばかり言って飄々としているエイジの過去に何があったのかはまだ明かされていない。橘を古くから知る千影(阿部寛)との仲良しトークや、常連客の珠美(眞鍋かおり)と正太(えなりかずき)のゆっくり進む恋模様など、コミカルな要素もたくさん散りばめられているが、最後までエイジが何者なのかが気になる。結局、最終話まで一気見して結末を見届けたくなるドラマである。
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