
広瀬すず、木戸大聖、岡田将生が共演する映画「ゆきてかへらぬ」。広瀬は駆け出しの女優・長谷川泰子、木戸は天才詩人・中原中也、岡田は中原の才能をいち早く見抜いた文芸評論家の小林秀雄を演じ、大正〜昭和初期時代に日本の文壇を騒がせた3人の愛と青春、三角関係を描かれている。3人に作品の魅力や見どころを聞いた。
広瀬「3人の間には恋だけじゃない、少しゆがんだ愛みたいなものがあったのかな」

――本作では男女3人の三角関係が描かれていますが、改めてどんな関係性だったと思いますか?
広瀬:3人の間には恋だけじゃない、少しゆがんだ愛みたいなものがあったのかなと思います。その上で泰子にとっての中也や小林さんは、自分の存在意義を証明してくれる存在だったのかなと。特に中也は刺激を与えてくれて、それが泰子にとって生きるエネルギーになっていた気がします。ただ、個人的には小林さんはちょっと分からなくて…。泰子と中也の間には純粋な何かがあるけど、小林さんは泰子を通じて中也を見ていた感じがするんですよね。
岡田:それはそうだと思う。小林の視点としては、泰子にフォーカスが当たっているようで、当たっていなくて。彼女への愛はあるんだけど、その先には中也がいる、みたいな感じは、演じていても意識しました。
木戸:逆に中也は人に分かってもらえないことが多く、孤独を抱えていたけれど、そんな自分を受け止めてくれたのが泰子と小林で。2人と出会えたからこそ、中也は自分の思いを詩にぶつけることができたのだと思うし、この3人だからこそ成立した関係だったのかなと思います。
岡田:でも、とても湿度の高い関係でもあるよね? それは現場でも感じていました。ただ、僕個人としては、泰子と中也がケンカし合っているのがうらやましかった(笑)。小林と中也は、どこか見えないところで刺し合っている感じもあって、そのヒリヒリした感覚が互いを高め合うものでもあったのかなと思いました。
岡田「脚本を読んで改めて感じたのは、時代に関係なく変わらないものがあるということ」

――舞台は大正〜昭和初期、さらに脚本は40年以上前に書かれたもの。言葉や言い回しが今とは違うため、苦労したこともあったのではないでしょうか。
広瀬:根岸(吉太郎)監督から、「当時の人は一音一音を声に出してハキハキとしゃべるから、今どきの芝居じゃないやつにして」と言われました。最初は慣れないから、少し恥ずかしさを感じるところもありましたが、(脚本家の)田中陽造さんの言葉選びやリズム感がすごく魅力的で、その一筋縄ではいかない感じが逆に心地いいものになっていきました。
木戸:あまり言い慣れない言葉が多かったですよね。僕は中也の詩を読むときに、監督から「中也が作った音遊びみたいなところをイメージしてほしい」と言われました。今でいうラップみたいなことなのかなと思いましたが、とても難しかったです。
岡田:小林はそこまで今の言葉との違いを感じることはなかったですが、この脚本を読んで改めて感じたのは、時代に関係なく変わらないものがあるということ。それが田中陽造さんの脚本では本当にステキな言葉で表現されていて、だからこそ、どんな人にも届くし、感じてもらえるものなのではないかと思いました。
2月21日(金)公開
出演:広瀬すず、木戸大聖、岡田将生ほか
監督:根岸吉太郎
脚本:田中陽造
配給:キノフィルムズ
公式サイト:https://www.yukitekaheranu.jp
(C)︎2025「ゆきてかへらぬ」製作委員会




























