
広瀬すず、木戸大聖、根岸吉太郎監督が2月13日に福岡県福岡市の西南学院大学で行われた、映画「ゆきてかへらぬ」(2月21日[金]公開)の本編上映付きティーチインイベントに登場。上映後には、3人が映画に関する質問に答えていくトークイベントが実施された。
広瀬すず、木戸大聖のけんかシーンは「まさに戦争」
本作は「文化の百花繚乱(りょうらん)」の様相を呈した大正から昭和初期を舞台に、実在した男女3人の壮絶な愛と青春を描いた作品。脚本は「ツィゴイネルワイゼン」や「セーラー服と機関銃」の田中陽造が40年以上前に書いたもので、多くの監督たちが映画化を熱望しながら長い間実現することができなかった、いわば“知る人ぞ知る”幻の脚本。「滅多にない優れたシナリオ」とこの脚本に焦がれ続けていた名匠・根岸監督が16年ぶりにメガホンを取った。
天才詩人・中原中也(木戸)、文芸評論家・小林秀雄(岡田将生)の2人の天才に愛されながら、自身の夢や思いを真っすぐに貫いた女優・長谷川泰子を演じた広瀬。演じた役柄についての感想を聞かれると、「泰子さんみたいに正直で人間らしく生きている姿に、うらやましいなと思う部分があったり、かっこいいなって思う部分があったり、自分をちゃんと表現できてる人だと感じました」と泰子という役へのリスペクトを語った。
特に印象に残ったシーンについて聞かれた広瀬は「泰子が中也の元を去って小林の家に行って、なぜか中也も含めて3人でウイスキーを飲むシーンです」と明かし、「あのシーンはすごいカオスというか。3人の関係性がすごく表れていて、それぞれの目線がめちゃくちゃ面白いことになってるなと、結構好きなシーンになりました」とコメント。
木戸は「僕はダンスホールのシーンですかね。あのワンシーンの中に幾つもの感情が入っています。楽しく踊っていると思ったら、突然けんかになるし、小さなきっかけで、泰子が怒って中也もそれに怒って、小林は冷静に座りながら見てるみたいな。あのワンシーンの濃密具合はすごかったですね」と映画の中で最も激しいシーンの思い出を回顧。
「完成した本編もすごかったけど、実際の現場はもっと激しくて」と苦笑していると、広瀬が「監督が全然カットかけてくれないから…私たちどんどん2人でヒートアップしてね、止めてくれる大人がどんどん増えていって、手が使えなくなったら私、最後は足出してましたけど…まさに戦争って呼んでました」と互いに本気でぶつかり合ったエピソードを笑いながら振り返った。

広瀬すず、青春時代を振り返り「あの時に戻りたいなって思う」
また、作品のタイトルにちなみ、自分の青春時代のエピソードと今の10代20代に伝えたいことを聞かれた広瀬は、「私は14歳からこの仕事をしていて、部活とか好きなことを諦めなきゃいけなくなった瞬間があって。もちろん今になってはすごく運命的なのかなって思う瞬間もありますが、あの時に戻りたいなって思う気持ちが、今になって思うことも多くて」と振り返る。
続けて「でも意外と流れに身を任せてみたら、自分だけでは見られなかった景色を見られたりとか、どっちもどっちだなって思えるようになってきて。今は自分が楽しくいられることだったり、やりたいことを大切に思っていたら人生楽しいかも!という思考になれるようになりました」と知られざる当時の悩みを吐露しつつも、ポジティブな人生観を語った。
木戸は「僕は学生時代にしっかり青春を過ごしたんですが、やっぱり夢を追いかけるっていうことに悩んだ時期やつらい時期もありました。最近よく考えることが、自分がいくつになって亡くなるか分かりませんが、もし80歳のときにベッドの上にいても、10代の時、20代の時、30代の時に『ああしておけば良かったな』って思わないように前向きにチャレンジするようにしています。まだ皆さんお若いと思うので、今後の人生後悔のないように何でもチャレンジしてほしいなと思います!」と力強いエールを贈った。
最後に広瀬は、「この作品はお話を頂いたのが5年前で撮影したのも2年前なので、やっとこういうふうに手元から離れて届けられると考えると本当に多くの方に見ていただきたいなと思います。実在していた3人が過ごした真っ赤な青春を、今の若い同世代の方が見て、どういうふうに感じ取るのかなってすごく気になります。大正から昭和初期の時代の中でこういう女性の生き方があったりとか、価値観があったことを皆さんに知ってもらえたり、何かそれが皆さんに少しでもいい影響を与える作品になったらいいなと思います!今日はありがとうございました」と感謝を伝えた。

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