【テレビの開拓者たち / 古沢良太】日本だけじゃなく、世界中の人たちが見るようなものを作りたい
2002年、「第2回テレビ朝日21世紀新人シナリオ大賞」を受賞し脚本家デビュー。「鈴木先生」(2011年テレビ東京系)、「リーガルハイ」(2012、2013年フジ系)、「デート~恋とはどんなものかしら~」(2015年フジ系)など、放送終了後も熱く支持され続けるテレビドラマを次々と生み出し、また「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズ(2005、2007、2011年)、「キサラギ」(2007年)、「エイプリルフールズ」(2015年)など話題の映画も多数手掛ける、今最も多忙な脚本家・古沢良太氏。10月21日(土)には、卓球の男女混合ダブルスを題材にした映画「ミックス。」が公開となる古沢氏を直撃。その人気の秘密に迫るべく、脚本家としての心構えや今後の展望を聞いた。
“こういうものが作りたい”という最初の衝動を大事にしています
――映画「ミックス。」は、古沢さんの“ラブコメ書きたい熱”から生まれた作品だそうですが、古沢さんの中では、常に「こういうものが書きたい」という構想があるんでしょうか?
「そうですね。いつも書きたいテーマはいっぱいあって、アイデアだけはたくさんあるんです。体が足りなくて、あと2つ3つあったらいいなと思うんですけど(笑)。まぁ、ひとつひとつ順番に出していって、コツコツ書いていこうかなと。ラブコメもそのうちまた書くと思います」
――今書きたいジャンルは?
「特に興味のあるジャンルというのはないんですが、こういうものを作ったら面白いんじゃないかなというのはたくさんありますよ。この仕事を始める前は、そんなにアイデアなんて出てこないと思ってたし、やりたいことをいくつか出したら、何もなくなっちゃうんだろうな、どうしようかな、なんて思ってたんですけど(笑)、今はやればやるほど、やり残したことが自分の中に積み重なっていって、そこから次にやりたいものがまた出てくるんですよ。それを人が喜ぶかどうかは分からないですけど(笑)」
――ジャンルやテーマは違っても、「ここだけは貫きたい」というような、脚本を書く上でのこだわりはありますか?
「最初に『こういうものをやったら絶対面白い』と思ったときに、自分の頭の中にあふれ出るイメージみたいなものがあるんですね。でも、実際に脚本を作る作業が始まると、時間も掛かるし、細かい修正だったり、現実的な要求にも応えていかなければならない。そうするうちに、その最初の気持ちを忘れてしまうことが往々にしてあるんです。ふと気がつくと、『あれ、俺、何をやりたかったんだっけ?』と見失ってしまう。だから、一番最初に“こういうものが作りたい”と思ったときの衝動や、そのときに浮かんだイメージを忘れずにいる、ということを大事にしています」
――その「イメージ」は、古沢さんの頭の中で映像として浮かんでいるんでしょうか?
「ええ、映像になってますね。ダイジェスト版や予告編みたいな感じで浮かんでくる。それで一人で感動して泣いたりして(笑)。で、お客さんにもこの気持ちを共有してもらえたらいいなと思いながら書き始めるわけですけど、その最初のイメージが豊潤であればあるほど、楽しく作っていけるんです」