【テレビの開拓者たち / 横井雄一郎】「クレイジージャーニー」演出家が画策中の新企画とは…?
今、最も勢いのあるバラエティーの作り手として注目を集めるTBSディレクター・横井雄一郎氏。「学校へ行こう!MAX」(2005~2008年)、「リンカーン」(2005~2013年)といった人気番組を経て、自ら企画した「クレイジージャーニー」で才能を開花させた横井氏に、番組作りへのこだわりを聞いた。
「ごっつええ感じ」の笑いは本当に斬新で、ものすごく影響を受けました
――横井さんがテレビマンとして最初に携わった番組は何でしょうか?
「最初の1年はドラマ班に配属されて、田村正和さん主演の『夫婦。』(2004年)や、野島伸司さん脚本の『あいくるしい』(2005年)などに参加させてもらったんですが、当然、ADという末端中の末端のポジションで。地獄のように忙しい日々を送ったおかげで、いつでもどこでも一瞬で寝られるし、10分寝たら2時間回復できる、そんな強靭な肉体を手に入れることができました(笑)」
――その後、自ら志願してバラエティーの制作に移られたわけですか。
「僕は元々笑うことが好きで、この世界に入ったんですね。ですから、自分がADで入っているドラマに芸人さんが出演するときは、『僕、本当はバラエティーがやりたいんです』なんて話し掛けたりしてました。今でもよく覚えているのが、ピースの綾部(祐二)さん。『僕も頑張るから横井くんも頑張ってね』と言ってくれたんですけど、その翌年に僕が『学校へ行こう!MAX』に異動になったとき、番組の前説をやっていたのがピースだったんですよ。その後、『リンカーン』で僕がディレクターを担当した企画に、ピースの2人に出てもらったこともありました。感慨深いものがありましたね」
――「元々笑うことが好き」とのことですが、影響を受けた番組や芸人さんは?
「何といっても松本人志さんですね。『(ダウンタウンの)ごっつええ感じ』(1991~1997年フジ系)が、僕が中高生のときにやっていて、世代的にどストライクなんですよね。あの番組の“笑い”は本当に斬新で、これまで見たことがなかった。次の日、学校で『俺はあの笑いを理解できたぞ』って友達と競い合うようにしてしゃべるのが楽しくてね(笑)。僕らの世代は全員、あの番組から何がしかの影響を受けていると思うんですけど」
――その後、「リンカーン」で憧れのダウンタウンのお二人と一緒に仕事をすることになるわけですね。
「『リンカーン』は途中からの参加で、番組が始まったときは、僕はまだ『学校へ行こう!MAX』をやってたんです。だから、いわば部外者だったんですけど、第1回目の収録を見学に行ったんですよね、ダウンタウンさん見たさに」
――(笑)。「リンカーン」での横井さん渾身の企画は?
「楽しかったのは、巨大化シリーズ。元々“巨大カップやきそば”があって、僕は“巨大リップクリーム”を担当したんですが、収録中ずっと、テレビでしかできないことの極みに挑戦しているという充実感がありました(笑)」