――今回のドラマのように実際に起きた事件がベースになっている作品を演じる上で、特に心掛けていることはございますか?
佐藤:これはほんの十数年前の話で、皆さんまだ存命なんですよね。それでやる場合には、やっぱりノンフィクションがベースであっても、(ドラマ用の)フィクションであるということに関して、自分たちがそれにキャラクターとして多少特化した部分や、カリカチュアした部分、そういったものを肉付けしなきゃならないということを、まずモデルになった方におわびしたということがあります。
また、連続ドラマで刑事もので、背骨を持った話でも、やはり1話の中には枝葉があって、1話完結の中で背骨を追っていくというのがドラマツルギなわけですよ。それが今回、1時間の尺のドラマを8本まるまるこの話だけでやる(笑)! 途中で何かの強盗事件が起こっているわけでもないしね。
江口:ないですね。
佐藤:これで見せるという“覚悟”ですよね。僕は一番モノを作るときに演じる側も作る側もお互いに求められるのは、覚悟だと思うんです。今作はその覚悟というものが制作サイドにも、それを受ける現場のスタッフ・キャストも含め全員持ってそこに臨むというドラマではないかなと。
その覚悟を原作者も含めて実在の人物の方々に、われわれが多少特化した人物として演じたとしても、感じてもらえると信じてやっています。
江口:そうですね。映像化するに当たって、デフォルメしている部分もあるし、ドラマにしていかなければいけないという部分もあり、ある種違う要素を入れていく作業でもありますけど、基にあるものは絶対ブレさせないということは意識しています。
佐藤:ふふふふ。
江口:自分が感じたままに、走るしかないっていうやりがいがありますよね。
いま、このテーマに挑戦する意義、面白さとは
――2001年に発覚した「外務省機密費詐欺事件」を今テーマにすることについてはどのようにお考えですか?
佐藤:これだけの事件なのに、当時の報道のされ方があったかないか定かではない事件なんですよ。それがなぜなんでしょうねということを描いているわけではないんですが、日本という社会の中での象徴、置かれ方とか、そういう部分のちょうど過渡期で、今の若い人が見れば「これだけのことなのになんでそれほど騒がれていなかったの?」と思うわけです。
そこら辺も含めて背景とかいろいろものが透けて見えてくると思います。あと一つ言えるのはこういうドラマをやれるんだなということ。
江口:そうですね。
佐藤:日本は、社会的に起きた事件というのに免疫がなく、親殺しとか子殺しとかあると映画化されていたんですよ。だけどそういうこともやらなくなったときに今こういう、近代史の中でもすごく近いほとんどの方が存命であるものをやるっていうことの意義、面白さということは強く感じますね。今やると、みんなこれをどういうふうに受け止めるんだろうというリアクションがすごく気になります。
江口:こういう作品はやっていくべきだと思いますよね。本当のことが見たいという視聴者の欲も絶対強くなってきていると思うんです。
特にこういう事件があったということは何なのかというところまで、深く視聴者を引っ張っていきながら、よりドラマチックに見せていくところを模索しながらやっています。
たぶん知っているようで知らないことが多いと思うんですよ、このドラマを通して、自分がどういう国に生きているのかということが分かりやすく理解できると思います。こういうものに挑戦するWOWOWさんを含めスタッフの方からの“熱”というのを感じましたね
――これからのシーンでお互いに期待していることは?
佐藤:一緒にライブをやるとか、全然芝居じゃないところの関係性でお互いを知っているというので、これからどんなふうに面白く出るかなという期待感はありますね。
江口:そう言っていただけるとうれしいです。これだけパンチの効いた題材はほかではありません。莫大な量のせりふと格闘する日々です。佐藤さんのせりふの間のコンマ何秒の世界を突き詰めていく、そのせめぎ合い、譲るのか、譲らないのか、ここは張るのか引くのか、といったことができる非常に楽しさでもあり大きな刺激にもなると思います。
これだけがっつり共演というチャンスはもうないと思うので、胸を借りて思い切りやらせてもらいたいなと思います。
11月5日(日)スタート(全8話)
毎週日曜夜10:00-11:00
WOWOWプライムで放送
※第1話無料放送
■「連続ドラマW 石つぶて ~外務省機密費を暴いた捜査二課の男たち~/プロモーション映像(ロングver.)」
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