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<明日はもっと、いい日になる>「月9として結構攻めた内容」ドラマPが明かす児童相談所が舞台の連ドラを制作した理由

2025/08/23 12:00

“虐待の連鎖”を丁寧に描くことへのこだわり


――基本的には一話完結ですが、翼が第1話から気にかけてきた叶夢(どりむ/千葉惣二朗)、奏夢(りずむ/小時田咲空)兄弟とお母さんの夢乃(尾碕真花)は、話を跨いて登場し、第7話では改めてフィーチャーされました。これはなぜですか?

虐待やネグレクトが連鎖してしまうことが、社会の大きな問題になっていると思ったからです。実際にお話を聞き、データも見させていただいたところ、ネグレクトや虐待を受けた子が親になった時にそれを繰り返してしまう確率は、約7割なのだそうです。とても高い確率に驚いたので、これはこの題材をやる上で描かないといけないなと思いました。

――その母親の夢乃が、第7話で犯罪加害者になりそうになったことがとても印象的でした。社会的脆弱層と犯罪被害リスク層はほぼ同じだと思いますが、こういった事例も実際にあったのでしょうか?

そうです。ネグレクトや虐待を行う人たちが生計を立てていくのに犯罪に手を染めてしまう事例もあり、その中には今、社会的問題になっているトクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)もあったので、そこも含めて描いたのが第7話でした。過去に虐待やネグレクトを受けていた方は、自分が親になることの恐怖を抱いていることがあるらしく、第7話で子ども時代に虐待なりネグレクトを受けていた夢乃さんと蔵田さんの過去がリンクすることで、この“虐待の連鎖”を丁寧に描きたいという狙いがありました。

――そのために夢乃という人物を縦軸で登場させて、じっくり描いていったんですね。

一話完結で登場する家族については希望で終わる形にしていますが、現実は綺麗事ばかりではないですからね。夢乃家族には、その難しい部分を担ってもらっています。なかなか戻れない、再統合できない家族の事例ももちろんあるので、その部分を。

「明日はもっと、いい日になる」第7話より
「明日はもっと、いい日になる」第7話より(C)フジテレビ


「月9として結構攻めた内容になっていると思います」終盤の見どころ


――そういった社会性と、ドラマであるが故のエンタメ性。このバランスを取るのはとても難しいと思います。

あまりにもエンタメ寄りにしてしまうと現実離れした絵空事になってしまい、社会性ばかりを重視するとたとえば、感動や心が洗われる思いがなくて届けたいメッセージも届かなくなってしまう。ですから、どちらかに行き過ぎないように、バランスにはすごく気を付けています。それは作り手だけでなく、演者の皆さんも同じで、“ここまでやるとやり過ぎだよな”などと意識されています。たとえば、ポップに掛け合うシーンでも、毎回確認し合いながら演じてくださっています。

――宮崎プロデューサーの中で、特に印象に残っているシーンはありますか?

いっぱいあるんですけど、一つ挙げるとしたら、第1話の 拓斗くん(土屋陽翔)と母親の加奈(徳永えり)のラストシーンです。オリジナルですからどれだけ作り込んでもやはり不安があったのですが、あの親子の姿を見た時にちゃんとやるべき大事なことを発信していけると感じました。

――では、このドラマを通して視聴者に伝えたいことはありますか? 隣人へのやさしさや社会意識など、いろいろあると思うのですが。

ドラマの中でも児童相談所は「招かれざる客」と言われていますが、もっと身近な存在になればいいなと思っています。誰でも相談していいし、相談すること自体も恥じゃない。特に現代は核家族化していて、隣に住んでいる人と喋らないことも珍しくありません。昔は地域で子供を育てたみたいなこともありますが、今は逆の世界になっている。だからこそ、相談できて、手を差し伸べてくれる児童相談所の存在が多くの方に伝わるといいなと思っています。

――最後に、クライマックスに向けての見どころを教えてください。

翼や蔵田だけでなく、レギュラーで登場している皆さんの過去がより鮮明に見えてきている中で、児童相談所で働いている一人一人がどのような結末を迎えるのかに注目していただきつつ、ドラマ全体としては児童相談所というものを真正面から描く最終回になっていると思っています。おそらく月9として結構攻めた内容になっていると思いますが、それはこのドラマをやると決めた時から“描かなければならない”と思っていたことでした。ちょっとハードな内容かもしれないですが、皆さんに伝わったらいいなと思っておりますのでぜひご覧いただけたらと思います。

「明日はもっと、いい日になる」第7話より
「明日はもっと、いい日になる」第7話より(C)フジテレビ


※宮崎の崎は正式には「たつさき」

◆取材・文=及川静

この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。

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