
福山雅治が主演、有村架純が共演する映画「ブラック・ショーマン」が9月12日(金)に全国公開されることを記念して、TVerでは福山出演の「ガリレオ」(2007年)と「ラヴソング」(2016年)が無料配信中だ。そこで本稿では、2本の作品で福山の魅力をおさらいしながら、映画の見どころを紹介する。
“フィクション性”で個性の強いキャラクターも乗りこなす福山雅治
「ブラック・ショーマン」は、稀代のヒットメイカー・東野圭吾による小説「ブラック・ショーマン」シリーズより発行された『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』(光文社文庫刊)を実写化するミステリー。国内累計発行部数シリーズ累計100万部を突破し、多くの言語に翻訳されて世界中で読まれている人気作だ。
主人公の神尾武史を演じるのは福山雅治。<原作・東野圭吾×主演・福山雅治>という組み合わせといえば、多くの人は真っ先に「ガリレオ」シリーズを思い浮かべることだろう。「ガリレオ」は福山演じる天才物理学者の湯川が科学の知識で怪事件を解決していくミステリー。2007年、2013年と2シーズンに渡って放送されたテレビドラマは社会現象に。劇場版3作品は「容疑者xの献身」(2008年)が49.2億円、「真夏の方程式」(2013年)が33.1億円、「沈黙のパレード」(2022年)が30億円の興行収入を突破する大ヒットとなった。
それほどまでに「ガリレオ」シリーズが多くの人に愛されている最大の理由は、間違いなく主人公の湯川に唯一無二の魅力があるからだろう。湯川学は頭脳明晰で容姿端麗、スポーツ万能という、一見すると非の打ち所のない人物だ。それでいて偏屈で、人付き合いはもとより学問以外のことには興味を示さない変人。かなり尖った個性を持っており、現実ではあまりお目にかかれないタイプだろう。
そこで光るのが、福山の持つ“フィクション性”である。完璧なルックスと色気のある声を持ち、歌手としても俳優としてもトップに君臨する福山。どこか超人的な存在だからこそ、湯川のような強すぎる個性も乗りこなせるのだ。これだけハマり役だと、ずっとそのイメージが付き纏いそうなものだが、どの作品でも当て書きかと思うくらいに役柄を自分のものにするもの流石の一言に尽きる。
「ブラック・ショーマン」で演じる神尾も、ラスベガスで名を馳せるほどの卓越したマジックと巧みな人間観察能力を持ちながら、金にシビアで、息を吐くように嘘をつくという癖のある人物。福山ならこの役も巧みにこなし、新たなヒーロー像を打ち出すことだろう。
福山雅治が相手役と見せる化学反応にも注目!
「ガリレオ」シリーズは福山演じる湯川と、柴咲コウ演じる初代相棒・内海薫、吉高由里子演じる2代目相棒・岸谷美砂の軽妙な掛け合いも大きな見どころだった。福山は相手役を選ばず、どんなタイプの俳優でも不思議と抜群の相性を見せる。
一つの例を挙げるなら、2016年4月期にフジテレビの月9枠で放送された「ラヴソング」。本作は第26回フジテレビヤングシナリオ大賞を受賞した倉光泰子のオリジナル作品で、吃音症の佐野さくら(藤原さくら)と、臨床心理士・神代広平(福山)が音楽を通して心を通わせるラブストーリーだ。
神代はプロのミュージシャンだったが、一曲しかヒットを出せず、自分の才能に見切りをつけて引退。また過去の恋愛による影響でひとりの人を真剣に愛することができず、臨床心理士として働きながら女性の住居を転々としている役どころだ。飄々と振舞っているが、隠しきれない神代の心の空虚感を福山がその佇まいで表現していた。
シンガーソングライターとしてキャリアをスタートさせ、本作がデビュー作となった藤原演じるさくらは生い立ちや障害による劣等感からやさぐれているが、一生懸命さから溢れる底しれぬ吸引力と天性の歌声を持っているヒロインだ。どこか冷たい印象すらあった神代がさくらと関わる中で温かみを増すとともに、音楽への情熱を取り戻していく過程が本作の大きな見どころであり、福山の演技もグラデーションのように変化していく。そんな相手役との化学反応も、福山が出演する作品の見どころと言えるだろう。
「ブラック・ショーマン」で福山の相手役を務めるのは有村架純。神尾の姪であり、実父が何者かに殺されたことをきっかけに、一緒に殺人事件の解決に向けて奔走する神尾真世を演じる。今回が初共演となる2人のバディっぷりにも注目だ。なお、TVerでは有村が出演した「ようこそ、わが家へ」(フジテレビ系)も配信されているので、合わせて視聴してみてはいかがだろうか。
■文=苫とり子





























