星野源 コメント
ある日、土井監督と那須田プロデューサーが「直に話したい」と僕の作業場まで来てくれました。映画「平場の月」の主題歌を制作してほしいというオファーでした。今まで何度もお仕事ご一緒しているけど、こんなふうに自分の居場所まで来てくれて3人だけで話すなんて滅多にないなぁ、とうれしかったのを覚えています。
頂いた脚本を読み、ピアノをぽろぽろと鳴らしながら作曲していきました。最近私は自身を焼き付けるような楽曲を書いてきましたが、この新曲「いきどまり」は自身を歌ったものではなく、歌の中に物語があり、それが一人称で語られる楽曲です。劇場の中で、そして貴方の中で、ぜひこの楽曲を聴いてください。
堺雅人 コメント
曲を聴きながら、井川遥さん演じる須藤と過ごしたいろいろなシーンを思い出しました。映画の世界を、月光にも似た淡く優しい光で照らしてくれるような曲ですね。また、「間違いだらけの優しさ」「忘れられぬ呪い」「行き止まりの二人」といった、星野さんが言葉にしてくださったフレーズのおかげで、物語をより理解できた気がします。出演者として本当にうれしく思います。星野さん、ありがとうございました。
土井裕泰監督 コメント
俳優・星野源とはこれまで何度か仕事をしてきたけれど、もちろんそのずっと前から、彼の音楽や文章のファンだった。紛れもない現代のPOPSTARでありながら、その表現のベースには常に市井の人の視線や実感があって、だからこそ彼の眼を通して見た世界はとても信用できる。
この平場の男女の物語は、彼の眼にはどんなふうに映るのだろうか?ある時、そんな興味に急にとらわれて、多忙な彼に台本を届けに行ってしまった。数カ月たって、ツアーが一段落した彼から返ってきたのは、彼の声とピアノだけのシンプルで美しい曲だった。「切ない、大人の、恋物語」などという惹句(じゃっく)ではとても掬(すく)いきれない、愚かしくもいとおしい人間の営みへのまなざしがあって、シニカルなのに温かく、諦念の中にささやかな希望を忘れていない。
この曲をもって完結することができる「平場の月」はなんと幸福な映画だろう。星野源の歌う言葉を、どうか劇場で、最後の一音までもらさずに聴いてほしい。

ストーリー
はじまりは、中学時代の初恋。青砥健将(堺雅人)は、妻と別れ、地元に戻って印刷会社に再就職し、平穏な日々を送っている。そんな中、彼が中学生時代に思いを寄せていた須藤葉子(井川遥)が夫と死別して地元に戻ってくる。再び出会った二人は、自然に引かれ合うようになり、少しずつ離れていた時を埋めていく。彼らは、やがて未来についても話すようになるのだが…。リアルでせつない大人のラブストーリー。
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