
コミックの映像化や、小説のコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、ふじちかさんが描く短編集『世界でいちばん美しいひと』(光文社)より『初めて百貨店にやって来た軍人の話』をピックアップ。
ふじちかさんが8月20日にX(旧Twitter)で本作を投稿したところ、1.3万件を超える「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、ふじちかさんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描く際のこだわりについて語ってもらった。
軍人が本当に欲しいものとは

時は大正10年。福富屋百貨店に勤務する案内係・赤沢は、日々多くのお客様の買い物の手助けをしていた。
ある日、初めて軍人・轟が来店。わかりやすく迷子になっている彼を見た赤沢は、案内すると申し出る。
万年筆を探していた轟だったが、案内されている途中に目に入ったどうぶつ人形や、可愛らしいデザインの便箋に目を輝かせている。
「お客様は可愛らしい物をとても愛していらっしゃる」
と赤沢が言うと、軍人としてそうであってはならないのだと言い張る轟。それをもどかしく感じた赤沢は、百貨店は多くの人が来店し、心惹かれる品物に出会った時に心から笑顔になるのだ、と話す。そして、せめて百貨店にいる間は好きなものを見て触れて楽しんでほしいと強く訴えた。
赤沢の情熱に心を動かされた轟は一筋の涙を流す。そして、今度は本当に欲しいと思うものを買いたい、と言うのだった…。
作品を読んだ読者からは、「続編が読みたい」「ぁぁぁこの二人がどうなっていくのか」「てぇてぇすぎる」「愛おしい気持ちになる」など、反響の声が多く寄せられている。
作者・ふじちかさん「キャラ同士のいろんな関係性を描いてみたい」

――『初めて百貨店にやって来た軍人の話』は、どのようにして生まれた作品ですか?きっかけや理由などをお教えください。
以前から軍人のキャラを描いてみたいなと思っていたのと、一見〇〇な人が実は〇〇だった、というギャップが大好きなのでそれを合わせた作品を描こうと思ったのがきっかけです。
――今作は短編集『世界でいちばん美しいひと』に収録されていますが、『世界でいちばん美しいひと』の見どころや注目してほしいポイントなどをお教えいただけますか?
この短編集は取り繕わないありのままの自分として生きたいけれどしがらみに囚われている人や、逆に囚われずに自由に思いのまま生きる人をテーマにしたお話を中心に収録されています。
現代社会では誰もが皆どこかに秘密や窮屈さを抱えていてありのままの自分を曝け出せない人が多いと思いますが、この短編集を読んでいる間だけでもその窮屈さから解放されて少しでも明るい気持ちになって頂けたら幸いです。
――『初めて百貨店にやって来た軍人の話』のなかで、特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
軍人の轟がかわいいものを見て顔を綻ばせているシーンは自分で言うのも何ですがかわいく描けたのでとても気に入っています。あとは赤沢が轟を大勢のお客さんがいる売り場に連れて行って、百貨店の案内係としての自分のお客さんに対する思いを語るシーンですね。仕事人間な赤沢の仕事に対する情熱とお客さんに対する愛情を同時に感じさせるところなのでとても好きです。
――ふじちかさんは漫画を描く際、大切にしていることや意識していることはありますか?
セリフの文字数をできる限り減らしてなるべく絵で見せるようにすることや説明的にならないように注意していますが、無意識にやってしまいがちなのでその度に反省しています。あとはキャラの表情や感情の魅せ方を特に大切にしています。
――ふじちかさんご自身や作品について、今後の展望・目標をお教えください。
キャラ同士のいろんな関係性を描いてみたいと思っています。また、今回描かせていただいた軍人さんのお話は大正時代が舞台だったのですが、実際に描いてみてめちゃくちゃ楽しかったので、時代物のお話ももっと描いてみたいですね。
そして一度でいいから「重版しました!」と言いたい。切実に言いたいです!(笑)
――最後に、作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
いつも私の作品を読んでくださり、ありがとうございます!読者の皆様が下さる様々なSNSでのご感想やお手紙、お葉書など全て大変嬉しく読ませていただいていていつもパワーを頂いています。
未熟な私ですがこれからも様々なお話を描いていきたいと思っているのでぜひぜひ読んでいただけたら嬉しいです!
この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。
































