
吉沢亮が主演を務める映画「国宝」が、第30回釜山国際映画祭ガラプレゼンテーション部門に招待され、9月21日に公式上映が行われた。同日、吉沢、黒川想矢、李相日監督は、野外メインシアター会場でのトークセッション・オープントークと上映後の舞台あいさつに登壇。吉沢と李監督は、韓国メディアによる記者会見にも参加した。
芸の道に人生をささげる主人公・喜久雄の50年を描いた壮大な一代記
本作は、歌舞伎役者の家に引き取られ、芸の道に人生をささげる主人公・喜久雄の50年を描いた壮大な一代記。
吉沢が主人公・喜久雄を、黒川は喜久雄の少年時代を演じ、共演の横浜流星、越山敬達、田中泯、渡辺謙ら役者陣が吹き替えなしで挑んだ歌舞伎シーンも話題になっており、原作者・吉田修一氏は「100年に一本の壮大な芸道映画」と評している。
公開108日間で観客動員数1,050万人、興行収入は148億円を記録。邦画実写としては22年ぶりの100億円を突破し、歴代の興行収入ランキング(※興行通信社調べ)では、邦画実写において、「踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」(2003年公開、173.5億円)に次ぐ第2位の成績を記録。さらに、第98回米国アカデミー賞国際長編映画賞の日本代表に決定した。
また、5月にはカンヌ国際映画祭「監督週間」部門、6月には上海国際映画祭インターナショナル・パノラマ部門カンヌエクスプレスに出品されており、9月にはトロント国際映画祭Special Presentation部門にて公式上映され、2026年には北米公開も決定している。
吉沢亮「これまでの作品とは比べものにならないほど、覚悟が必要でした」
2,000人が集まった屋外会場で行われたオープントークでは、はじめに李監督が登壇し、韓国語で自己紹介。司会者から日本では、実写映画の歴代興行収入ランキングで2位を達成した記録について質問されると、「この映画はテレビドラマや漫画の原作から始まった映画ではなく、伝統文化を扱った映画ということで、今の日本の観客が多く見てくれて驚いています」と話し、続けて「歌舞伎は、どの国の人でもその美しさと伝統、歴史を感じることができる芸術だと思います。国や人種を問わず感動できる映画だと思っています」と話した。
そしてイベントの中盤、主演の吉沢、黒川の2人が会場にサプライズ登壇。2人は共に韓国語で自己紹介し、満席の会場からは盛大な拍手が起こった。
吉沢は「1年半という長い期間、一つの役のために時間を費やすというのは貴重な経験でした。実際の歌舞伎役者の方々の足元にも及ばないので、稽古をすればするほど、どれほど素晴らしい方々かを実感しました。あの時は『やるしかない』という意地でやっていました。これまでの作品とは比べものにならないほど、覚悟が必要でした」と語り、さらに、「李監督からは、難しくて不可能な注文ばかりされました。しかし、一方でその注文は『役者なら乗り越えられる』という絶対的な信頼だと思いました。監督の言葉の中にある愛をとても感じることができました」と撮影当時を振り返った。
また、黒川は本編での演技について質問されると「演技が本当に面白くて仕方ないです。本作の中で『寝る時間が無駄だ』というセリフがあるのですが、その気持ちは分かる」としながらも「演技を楽しむためによく眠るように努力しています」と付け加えて会場を笑わせた。































