
俳優の堺雅人が11月26日、都内で行われた映画「平場の月」大ヒット御礼舞台あいさつに、井川遥、土井裕泰監督と共に登壇。人生初のティーチインで撮影秘話を次々と明かした。
完全オリジナル脚本で描く12年にわたる運命と絆
同作は、朝倉かすみによる同名小説を映画化したもので、堺が8年ぶりに映画主演を務めるこれまでにない大人の恋愛物語。青砥健将(堺)は妻と別れ、地元に戻って印刷会社に再就職し、慎ましく平穏に日々を送っていた。
一方、青砥が中学生時代に思いを寄せていた須藤葉子(井川)は、夫と死別し今はパートで生計を立てていた。互いに独り身となり、さまざまな人生経験を積んだ2人は意気投合し、中学生以来、離れていた時を埋めていく。再び、自然に引かれ合うようになった2人は、やがて未来のことも話すようになるが…。
作品の感想に感心しきり
登壇した堺は、SNSなどで寄せられた作品の感想が印刷されたコメントボードを見ながら「皆さんの文章力がすごくて! 自分の気持ちをここまでこんなにうまく表現できるっていうこと自体にとてもびっくりしました。僕とか、見終わった後は大抵ぼんやりしているので(笑)。なぜこんなに良かったのかをご自分で分析なさっているのが『すごい人たちばかりだな』って」と感心しきり。
また、演じた後の心境について「物語が閉じてないじゃないですか。その後の人生、どれくらい回復に時間がかかるか分からないくらいのところでポンっと放り出される感じがするので、自分の中で終わった作品というよりは、(主題歌を担当した)星野源さんの言葉を借りると、呪いがずっとかけられているような、マジックがずっと続いているような感じがする」と述懐した。
号泣シーンの演技プランはその場で決定
ティーチインでは「青砥が泣く最後のシーンはどのような思いで演じたのですか?」という質問が寄せられると、堺は「あそこはこの作品のメインテーマでもある薬師丸ひろ子さんの『メイン・テーマ』という曲が入っていて、『涙の止め方が分からなくて笑っちゃう。20年も生きてきたのにね』という歌詞が(胸に)ズドーンと来るシーンなのですが、台本には『涙が流れる』としか書かれていなくて、現場で(監督から)『号泣行きましょう!』って言われて、その時は全くノープランだったのですが、あの曲を録音部さんが流してくださったおかげで『“涙の止め方が分からなくて笑っちゃう”でいこう』とその場で考えて演じたんです」と告白。
ほか、「好きなシーンを教えてください」という質問で浴衣の話題になると、堺は「(新鮮な心境の芝居の邪魔にならないように)入院中の須藤の姿をなるべく青砥に見せないようにと、監督含めてスタッフの方々がすごく気を使ってくれて…。美術部のセットの片隅にある机の上に『こういう形になります』という内容のテスト写真が置いてあって、僕がそこに近づくと、『近づかないでください! 絶対にこれを見ないでください!!』って(苦笑)」と振り返り、さらに「でも俺、ちょっと見ちゃったんだよ」とバツの悪そうな表情を見せて爆笑をさらった。
◆取材・文=原田健
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