
源内生存のうわさが治済にも届く
芝居町にある3つの芝居小屋が興行初日を迎えることになり、蔦重は一時的に芝居町に支店を構えた。そこで写楽の絵を売り出すと、人々はそのそっくりさと、これまで聞いたことのない絵師・写楽の正体を推測して盛り上がり、杉田玄白が写楽は源内ではないかと述べたことでさらに噂は広まった。
その噂は城中へも届き、田沼意次のことなどを振り返り、ついには「得をしたのは一橋様(※治済)ばかり」との声も上がるまでになった。
治済の嫡男で現将軍の家斉(城桧吏)の乳母を務め、再び一橋家に仕えたいと願い出た大崎(映美くらら)は、源内が書いたとされる戯作「一人遣傀儡石橋」の草稿を治済に渡す。治済は「あやつが生きておるわけがなかろう」と言うが、「密かに生き延びたということは…」と大崎。写楽の絵についても伝えた。
後日、大崎は再び治済と会い、意次の家臣だった三浦(原田泰造)が芝居町の潰れた浄瑠璃小屋で源内らしき男といたと告げる。そして「なにぶん、平賀源内の顔を見たことのある者がおらず」として、治済に確かめてもらえないかと頼んだ。

治済と食べ物の恐ろしいシーンに視聴者騒然
曽我祭の日、治済は市中の人々に紛れて姿を現した。驚くことに蔦重の支店へと入り、絵を購入する客として「写楽というのは、まこと源内なのか」と問い掛けた。蔦重が「さぁどうでしょう」と他の客にするのと同じようにあしらうと、治済は「あの戯作も面白かったぞ」と告げる。蔦重が「どの戯作でございますか?」と聞くと、治済は「忘れた」と笑った。
治済は蔦重にかまをかけたのだろう。ただ、蔦重は治済の顔を知る由もない。治済が絵を受け取ると、控えていた大崎が代金を支払った。「釣りはいいので」と紙に包んだ金を渡すが、蔦重が受け取ろうとしてもしばらく手を離さずに意味深な表情を浮かべていた。
実は大崎は、定信の間者となっており、治済を市中へとおびき出す作戦だった。定信たちも潰れた浄瑠璃小屋に潜んでいた。
そこで予期しなかったことが起きる。のんびりと祭りを見学する治済を浄瑠璃小屋へと急がせようとする大崎に、治済は「1つ、気付いたことがあってな」と話し始めた。なんと、先に渡した戯作の字が定信ものもだと見抜いたのだ。
表面上は取り繕う大崎だが、その声の震えから動揺が分かる。それでも治済をなんとか連れて行こうとする大崎に、治済は「では、これを食してから行くとするかの」と祭りで配られていたまんじゅうを取り出した。
しかし、次に出た言葉は「そ・な・た・が・な」で、まんじゅうは大崎の口元へと差し出された。
不気味な物言い。そして何より治済と食べ物というと、これまで本作を楽しんできた視聴者はハッとしたに違いない。そこには治済の企みがあり、源内や先代将軍など、たいてい誰かの死がともなっていたからだ。
その予想は、まず思いがけないところで明らかになる。家臣が市中で配られていたまんじゅうを食べた定信らの家臣が次々に倒れた。そして、治済が含み笑いをしながら一人で帰っていく様子に次いで、大崎が道端に倒れているのが映し出された。
祭では包み紙に役者の名前入りのまんじゅうが配られていたが、怪しい人物がそれにまぎれて名前が入っていないまんじゅうを定信の配下のものと思われる人物に渡すシーンがあった。狙いすましての犯行だ。蔦重の店の者にも渡され、蔦重も食べる寸前だったが長谷川平蔵(中村隼人)に止められて助かった。治済が店に来たのは確認もあったようだ。
SNSには「毒まんじゅうきた」「毒まんじゅうで逆襲だ」「毒殺サイコパス」「怖過ぎる」の声が上がった。だが、ラストで平蔵に浄瑠璃小屋に連れてこられた蔦重が見た人物が、治済と同じ顔の人物だったことで、「どういうこと?」と戸惑いが広がった。
◆文=ザテレビジョンドラマ部

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