是枝裕和氏(脚本・監督・編集)コメント
京都からの新幹線の帰り、品川駅の本屋に平積みされていた表紙の「背中」に引かれて、思わず手に取ったのが「ルックバック」との出合いでした。その晩、一気に読みました。漫画と映画でジャンルは違いますが、同じ作り手として、覚悟が切実に伝わってくる作品で、きっと藤本タツキさんはこの作品を描かないと先に進めなかったのだろうなと、そんな気持ちが痛いほど伝わってきました。自分にとっては、「誰も知らない」がそんな作品でした。
その出合いの後、小出プロデューサーから「ルックバック」を実写映画に、という誘いを受け、藤本さんにお会いする機会を頂きました。まずは、このような作品を世に産み落としていただいたこと、その作品に同時代に出合うことができたことへの感謝をお伝えできればと思っていたのですが、その帰り道、「やらないわけにはいかない」と覚悟を決めたことを覚えています。
撮影は終了し、現在編集中ではありますが、とても豊かなものが映し出される作品になるのではないかと思います。

藤本タツキ氏(原作)コメント
是枝監督作品で初めて見たのは「海街 diary」です。主人公が新しく住むことになる家の中や、町の食堂の中の家具などがとても生活感があって、物語に説得力を持たせるものになっていました。物語に関わらない細かい演技なども、キャラクターが日々、僕たちの見えないところで生きていると思わせるもので感動しました。
是枝監督がルックバックを撮ってくれるなら、僕はもう何も言うことはないです。楽しみにしています!
小出大樹氏(企画・プロデュース)コメント
ジャンプ+で公開された日に何度も読み返しました。衝撃でした。すごいものを読んでしまったと思いました。さまざまな感情とともに、僕は藤野の背中から何か強い力をもらった気がしました。
その矢先、藤本タツキさんにごあいさつできる日がありました。藤本さんに読んだ直後の感想を伝えたいと思っていたのですが、僕は間際になって、この漫画を是枝監督による実写映画にさせていただけないかと伝えたいと思っていることに気が付きました。
是枝監督とは、僕が学生の頃に受けていた授業の先生として出会い、教室の席からその背中をみつめていました。「誰も知らない」で1年をかけて四季をめぐりながら子供たちの成長を撮影したこと、「海街 diary」や「奇跡」で子役の方に台本を渡さずにせりふを口伝えで演出されたことなど、これまで見聞きした話が思い出されました。
なによりも、「誰も知らない」を見た際に抱いた強い感情が呼び起こされ、考えれば考えるほど、この実写映画化に際しては、是枝監督しかいないのではないかと思い、お声がけしました。
是枝監督をはじめ、キャストとスタッフの皆さん、秋田県にかほ市の方々と、四季を通じて、出来うる限り丁寧に撮影してきました。力を尽くして作りますので、楽しみにしていただければと思います。































