相対するキャラクターごとに話し方を変えて演じる夏帆に驚き
――夏帆さんや竹内涼真さんをはじめとする出演者の皆さんと撮影現場でコミュニケーションを多く取られていたと聞きました。竹内さんのシーンでは勝男が肌着で飛び出すシーンなどがありましたが、肌着のシーンが生まれたきっかけはどなたのアイデアだったのでしょうか?
勝男が肌着で料理するのは竹内さん発案です。衣装合わせの時に何着もの衣装に着替えていただくのですが、その時に竹内さんが衣装の下に白いTシャツを着ていたんです。私たちが竹内さんの着替えを待っている中、急に白いTシャツ姿で竹内さんが出てきて、「これで料理するってどう思いますか?」と尋ねられたんです。
その時に本作のカメラマンである加藤十大さんや、夏帆さんもその場に居合わせていたので、加藤さんにお願いして、鮎美姿の夏帆さんと肌着姿の勝男の竹内さんで写真を撮ったら、すごくコミカルで面白いなと感じたんです。スタイリストさんたちも「ありですね」と共感してくださったので、肌着姿の勝男が生まれました。

――夏帆さんのアイデアで生まれたシーンはありますか?
夏帆さんは、自分から発する言葉の重みがちゃんとある人です。せりふもそうなんですけど、動きとかもそうで。たとえば第2話の終わり、「ミナトくんに会いたくなっちゃって」と言った後に、自分が孤独だったと再認識させられて泣いちゃうところがあって。あのシーンは、私が最初に台本を読んでイメージしていたものとはいい意味で違うものになりました。
夏帆さん自身が、自分の中で「別れて変わったはずなのに、孤独に感じてしまう」涙が出ちゃうような演技にしてくれて。並大抵の人にはできないと思うんですけど、そうした解釈を自分の中でしっかり持って演じてくれたのがすごいなと。
せりふの受け方だったり、仕草、声のトーン、テンションなど、1シーン1シーンをちゃんと作ってきてくれていて、その積み重ねが夏帆さんの芝居の説得力につながっていると思います。
特に、受付の仕事をしている時、渚といる時、勝男といた時、ミナトくんといた時とでそれぞれ話し方が違っているんです。実は鮎美っていろいろな人と会っていて、夏帆さんもいろいろな方と芝居をしているからこそ、それぞれにあった話し方に変化させていて、「夏帆さん、すごいな」というイメージを持っています。

現場に常にあった「渚がいてくれる安心感」
――他にも印象に残っているシーンや、撮影の裏話があったら教えてください。中条あやみさん演じる柏倉椿についてはいかがでしょう?
中条さんは、まさに“椿そのもの”という感じでした。芯がしっかりしていて、たくましくて。中条さん自身の強さと、椿という女性の強さが重なって見えました。さらに中条さんは、役づくりへのこだわりが本当に細やかで。「椿だったらこうする」とご自身で考えて、ネイルも椿仕様にしてくださっていました。
第5話で「社長やってると、平民にはわからない苦労があるんだよ」と話すシーンでは、完璧に見える椿の“弱さ”や“孤独”を丁寧に表現されていて。中条さんが演じることで、椿という人物に大人の説得力が生まれたと感じました。

――サーヤさん演じる渚も印象的なキャラクターでした。
サーヤさんは本当に“渚を取り込むのがうまい”方でした。カメラが回っていない時も自然に渚でいて、話し方や立ち姿まで研究してくださっていたんです。美容師の難しい所作も相当練習されていました。
渚というキャラクターは、見方によっては単なる“姉御肌”や“助っ人役”に見えてしまう危険もあるんですが、サーヤさんはそこに“本当の親友”としての温かさを加えてくれました。
現場でサーヤさんのお芝居を間近で見られたのは本当に貴重でしたし、彼女の表現力に驚かされる瞬間がたくさんありました。現場でもスタッフを楽しませてくれたり、「渚がいてくれる安心感」が常に現場にありました。





































