
長らくテレビを見ていなかったライター・城戸さんが、TVerで見た番組を独特な視点で語る連載です。今回は『ナンデモ特命係 発見らくちゃく!』(FBS福岡放送)をチョイス。
敗北の歴史『ナンデモ特命係 発見らくちゃく!』
福岡県民にはお馴染みの福岡放送(FBS)にて放送されているバラエティ番組、『ナンデモ特命係 発見らくちゃく!』。パラシュート部隊・斉藤優をMCに、一般視聴者から寄せられた悩みを解決していく。FBS版『探偵ナイトスクープ』と言えば、イメージがしやすいかもしれない。
さて、私が鑑賞した12月7日(日)の放送回は、“謎のオーブ”についての調査。山口県の雀荘の防犯カメラに毎晩映る白い発光体(=オーブ)の正体を突き止めるべく、番組スタッフに加え、霊視能力のある占い師・明神桜子氏と、防犯カメラのスペシャリスト・兼松拓也氏が、オカルトとデジタルの両面から検証してゆく。
これは面白い!依頼者は雀荘を経営する自称“スピ系雀士”の藤原英司プロなのだが、彼の願いは「カメラに映るオーブが霊現象であるとお墨付きをもらいたい」というもの。この不思議な事象が、現実的な視点から解き明かされてしまうことを望んでいないのだ。そんな依頼者に対して、明神氏も兼松氏も、それぞれ得意とする観点から、「オバケではなさそうです」と冷静に指摘していく、この構図が新鮮。普通は逆だし、オカルトのスペシャリストとデジタルのスペシャリストの意見が一致するというのもアツい。「それでも、それでも」と食い下がっていく依頼者の姿も相まって、面白いのは勿論、抜け感のある爽やかな番組に仕上がっている。気になるオーブの正体も含め、これは是非番組を見ていただきたい。超オススメ!
やっぱり霊現象をマジメに検証するのはテンション上がるね。オカルトが大好きなのに、それが科学的に解体されるのも大好きって、私のスタンダードは一体どこに行ったのだろうと思うけれども、オカルトがつまらない現実を貫通してくれることを願っている私にとっては、まずオカルトの敗北を認めなくちゃならないわけで。いつか「ほんとうの不思議」ってのがあらわれ、現実を粉々にしたとき、オカルトの敗北の歴史がいかに積みあがっているかで、破片の数も増えていくわけだ。バラバラになればなるほど、修復は困難。だから、オカルトは現実に敗北し続ける。「そのとき」が来るまでは……。
■文/城戸
この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。
城戸(きど)
X(旧Twitter):@sh_s_sh_ma1996年生まれ。映画を観るのが好きなフリーライター。オモコロなどWEBメディアを中心に活躍。
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