“痛男”を好演した岡田将生「途中からかわいく見えてきた(笑)」【映画「伊藤くん A to E」連載】
人の恋愛をのぞき見しているような感覚のドラマが話題になった「伊藤くん A to E」が、岡田将生&木村文乃W主演・初共演で映画化。超モンスター級“痛男”の伊藤誠二郎と、彼に翻弄(ほんろう)される4人の女性たち、そして彼女たちの恋愛相談を脚本のネタに使おうとしている崖っぷち“毒女”・矢崎莉桜の姿を通し、女性たちの本音を赤裸々に描いた恋愛ミステリーだ。そのリレー連載第1回は、容姿端麗だが、自意識過剰で空気の読めない伊藤くん役の岡田将生が登場。“痛男”を演じた感想や、撮影の裏話を語ってくれた。
伊藤に対して共感はないけど、途中からかわいく見えてきた(笑)
――岡田さんが演じられた伊藤くんは、全てが口先だけのどうしようもない男ですね。
こういう生き方をしている人もいるんだろうなと思いましたが、好きになれないキャラクターでした。女性に対する言動もひどいですし、やっていることが本当にダメダメで。伊藤に対して共感はないんですけど、演じていくうちに思ったのは、伊藤は究極に純粋なんじゃないかと。自分が傷付きたくないという思いは誰もが持っているものだと思いますし、それをここまでハッキリ言ってしまえるのは、ある意味、潔いですよね。なので、途中から伊藤はきっと外国人の子供なんだと思うようになり、そこからは伊藤がかわいく見えてきました(笑)。
――監督を務められている廣木隆一さんとは、「雷桜」(2010年)以来、2度目のタッグとなります。その廣木監督が「伊藤くんは岡田さんにしか演じられない」とおっしゃっていたようですが、ご自身ではどう思われますか?
それはすごく考えました。廣木監督は僕の中に伊藤の要素を見ているのかなって。自分としてはゼロから伊藤を作り上げたつもりなんですけど、少しは自分の中に要素がないとできなかったのではないかと、最近になって思うようになってきました。でも、廣木監督が見ている僕のイメージが本当にそうだったら、ちょっと眉間にしわが寄りますね(苦笑)。
――久々の廣木組の現場はいかがでしたか?
「雷桜」のときはなかなかOKが出なくて苦労したんですが、今回は割とすぐにOKが出て、「え? OKって、こんなに簡単に出るものなの?」と驚いてしまいました(笑)。それでも廣木組は緊張するので、知らぬ間に力が入っていることがあって。自分ではリラックスしているつもりだったんですけど、全然ダメでしたね。最初に撮影したシーンなんて、もう一回撮り直したいなと思うぐらいです(笑)。あと、廣木監督といえば長回しが特徴的なんですが、長回しは緊張感もあるけど、その分やりがいがあるし、やってやるぞと気持ちが乗るんですよね。そういう気持ちになるのは、廣木組ならではだと思います。