又吉直樹と西野亮廣 対談「作り手とお客さんを完全に分ける時代じゃなくなった」(連載第三回)
お客さんとの距離感が仕事自体を変える
西野 最近は、お客さんとライブするどころか、バーベキュー大会しちゃいます。僕はお客さんと何かを作るっていうのが好きだから。一昔前だと完全にアウト、今でもアウトかもしんないけど。客とそんなことするのはヨゴレだ、みたいなのあったじゃない? でも、もはやそういう時代ではないと思っていて。作り手とお客さんを完全に分けるという時代じゃなくなった感じがしていて。ここにいるお客さんと、次は一緒に映画作ろうぜとか。
僕、オンラインでファンクラブ作ってて、そこで、「こんな仕事のオファー来ました。どうする?」っていうのをお客さんに決めてもらってる。この間、秋元康さんに言われたんだけど、「もう通帳公開しちゃえば」って。通帳を公開して、吉本から入ってきた給料とか本の印税の使い方とかをみんなで考えたら、西野君の活動がみんなそれぞれの自分事になるから、「西野頑張れ!」ってなるから、そういうほうがいいんじゃない? みたいな。本当におっしゃる通りで、来年どっかで通帳を公開して、「今月は吉本からこれくらい入りました」ってやろうかなって。
又吉 税金の使われ方なんかは、細かいところまで開示されへんっていう議論になるけど、西野くんはクリアしてます(笑)。信用を得られるよ。
西野 信用を得られる。超、信用を得られる。
又吉 でも全部バレるで。
西野 女の子と飲みに行ったりとかも全部バレる。でも、そんなことできる奴はいないじゃん。秋元さんからは、「もう、それをタレントで西野くんくらいしかやんないから、やっちゃいなよ」って言われて。確かにおもしろいなと思って。僕、お客さんと何か作るっていうのがすごく好きですね。だから、本でも情報解禁なんかやんないですよ。いついつ解禁します、みたいなのは。ぬるっと「こんなん考えてます」みたいなところから晒しちゃう。
又吉 事務所は情報解禁にうるさいところもあって。
西野 僕は大前提として所属してないっていうのがあるから、吉本に。社長には以前から言ってるんだけど、「僕たちは所属してないですよね」って。縛る権利がそっちにはないし、縛るんだったら辞めますっていうふうにしてます。だから、僕の意思で情報を流すし、著作権も僕にあるしって。
又吉 言ってること、ほんま正しいですよ。ただ僕は若いころ部屋を借りる時に、「吉本の社員です」って嘘ついちゃったことがあるから。
西野 言っちゃってんだ。
又吉 会社の名前書け、って言われて、吉本興業って書いてもうて。社員といえば社員です、みたいな(笑)。
(次回は1月9日更新です)
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