「加賀恭一郎と共に成長できた」阿部寛が“新参者”シリーズへ感謝
東野圭吾のベストセラー小説を原作に、阿部寛が日本橋署の刑事・加賀恭一郎を演じた「新参者」シリーズ。連続ドラマ「新参者」(2010年)、2本のスペシャルドラマ「赤い指」(2011年)、「眠りの森」(2014年全てTBS系)、そして映画「麒麟の翼 ~劇場版・新参者~」(2012年)が製作され、そのどれもが大ヒットした人気シリーズがついに完結する。そこで、7年間にわたって主演を務めてきた阿部に、「新参者」シリーズへの思いと、完結編となる映画「祈りの幕が下りる時」の見どころを聞いた。
加賀の人間味があるところが好き
――阿部さんにとって加賀恭一郎は、「トリック」シリーズの上田次郎(14年間)に次いで長く演じられたキャラクターになりました。今、加賀という役に対して思うことは?
僕はそれまではストレートに演じることをあまりしてこなかったので、加賀を演じることは自分の中での挑戦でもありました。というのも、刑事ものは年齢を重ねていかないと、その人の説得力や人生の深みが出ないのではと思っていたので、どこか避けていた部分があった。しかも、加賀という刑事は動タイプではなく、静の芝居を要求される役柄。すべてが加賀の頭の中で解決されていくので、ちょっとした仕草を間違えると、地味になりかねない難しい役だった。
――「祈りの幕が下りる時」で久々に加賀を演じるにあたり、過去作を見直されたそうですね。
それで思い出したのが、8年前に連ドラで初めて加賀を演じたときのこと。多分、当時の取材でもお話させていただいていると思うんですが、僕が小学5年生ぐらいのときに、家に刑事が訪ねてきたことがあって。近くで事件があり、その聞き込みにいらしたんですけど、そのときに初めて本物の刑事を見て、話している感じは紳士的で優しいのに、目がとてつもなく怖かったんです(笑)。それを加賀にも生かせないかという思いがあった。
――気のせいかもしれませんが、連ドラ時代の方がもう少し変わり者キャラだったように思うのですが…。
たい焼き屋の行列で屁理屈を並べていたりね(笑)。でも連ドラの初期はいろいろ試そうと思ってやっていました。でも、この間、あらためて過去作を見直してみて、僕自身、加賀のああいうチャーミングなところや、人間味があるところが好きだなと思ったし、あのテイストがあって正解だったんだと思いました。今回の映画でもありますが。
スタイリスト=土屋詩童/ヘア&メーク=丸山良
映画「祈りの幕が下りる時」
2018年1月27日公開
原作/東野圭吾 出演/阿部寛 松嶋菜々子 溝端淳平 田中麗奈 伊藤蘭 小日向文世 山﨑努ほか