「加賀恭一郎と共に成長できた」阿部寛が“新参者”シリーズへ感謝
松嶋菜々子さんはとにかく心でお芝居をされる方でした。
――今回の「祈りの幕が下りる時」では、これまで明確には語られてこなかった加賀の過去がクローズアップされます。そういった加賀の新たな一面が描かれるということで、何か意識されたことはありますか?
物語が進むにつれて、松嶋菜々子さんが演じてくださった女性演出家が関わる本筋の事件と加賀の過去が繋がってくるんですが、そのどちらにも親子の愛や確執が隠されていて、そのリンクのさせ方が、さすがは東野圭吾さんだなと思いました。演じる上では、本筋の事件に対しては刑事としての本領を発揮する加賀、それ以外の自分の過去に関するパートでは、あまり力まず、事実に寄り添うように演じようと思っていました。
――松嶋菜々子さんとは、今回が初共演だそうですね?
僕が勝手に誤解していて、お会いするまでは「家政婦のミタ」(2011年日本テレビ系)のような、あまり感情を表に出さない人かと思っていました。でも、実際は全然違っていて、とにかく心でお芝居をされる方でした。たまに自分の顔が映っていないと手を抜かれる役者さんもいらっしゃるのですが(笑)、松嶋さんは全くそういうところがなく、全力でお芝居をぶつけてこられるので、すごく助かりました。
――(加賀の従兄弟で、数々の事件を一緒に解決してきた)松宮役の溝端淳平さんとは久々の共演ですね。
連ドラのときの彼は、まだ20歳か、21歳ぐらいだったのかな。でも、今は28歳になって、仕事に対する考え方も変わってきたのかなと思いました。というのも、今回の映画では(松宮が)事件を最初に引っ張っていく存在なので、それに対するプレッシャーや責任感もあったと思う。実際、そういう気合を感じたし、彼なりに松宮という刑事を考えてきたのが伝わってきたので、8年前よりも成長していると思いました。僕自身、彼と同じぐらいのときに“こだわる”ということを大事にしだしたし、役者の仕事が面白くなってきたので、彼もそう感じているのかなと思って、うれしかったです。
スタイリスト=土屋詩童/ヘア&メーク=丸山良
映画「祈りの幕が下りる時」
2018年1月27日公開
原作/東野圭吾 出演/阿部寛 松嶋菜々子 溝端淳平 田中麗奈 伊藤蘭 小日向文世 山﨑努ほか