スポーツも芸術も基礎が大事
――武井さんは陸上・十種競技の元日本チャンピオンであり肉体派のイメージでしたが、「いけばな」「盛り付け」は特待生、「ステンドグラス」「俳句」などでも才能アリと芸術的分野でも才能を発揮。番組によって、周りの反応は変わりましたか?
この番組に出るたびに「武井壮、そんなのもできるんだ」と良い反応がありますね。「俳句さく咲く!」(NHK Eテレ)の司会もやらせていただけるようになりましたし。
陸上でも十種競技が専門なので、僕の特技は能力の幅を広げること、いろんなジャンルのことを吸収して地球上で楽しめないものはないという能力を育ててやろうと思っています。
テーマを与えられたら必ずそれについて勉強して、イメージして臨むようにしているので、それが功を奏してるんじゃなかと思います。
――スポーツで努力の仕方を知ってらっしゃるから、他のジャンルでも目標に向かって何をすればいいか明確にイメージできるんですね。
スポーツでも何でも一緒なんですよね。どんなことも同じで、知らなきゃできないし、楽しめない。きちんと学んで自分の能力を伸ばす作業をしていけば必ず伸びますから。
「いけばな」をやるとなったら、假屋崎(省吾)先生の個展に行かせていただいたり、俳句だったら歳時記などを読んだり、どういう句が評価されているのかというのも見ますし。
そういう機会に触れることで、素晴らしさに気付くし勉強にもなって、その世界が広がっていく。それを一つずつこなしている毎日です。
――ちゃんと基礎を学んで、そこから発想力を磨いていくという考え方は、やはりスポーツでのご経験からですか?
スポーツなんて自分の体が思った通りに動かなきゃ、いくら練習しても全部偶然ですから。それと同じで、基礎を知らなきゃ、たまにいい仕事をしても全部偶然。
どんなものでも基礎をベースにおいて正しいものを作って、その上で自分を表現できるというのが技術だと思います。
ここからオリジナリティーある作品へ
――この番組にご出演されるまでは、芸術系なものなど勉強されたことはあったんですか?
全くないんです。
――この番組がきっかけなんですね。いろんなことに挑戦される中で、今、一番ハマっているものは?
俳句の番組をやらせてもらっているので、やはり俳句ですね。徐々に番組での評価も上がっていますし、夏井(いつき)先生にも「こんなに伸びるものかね」とご評価いただいて。
番組だけでなく自分でも勉強して、切れ字の使い方、季語の選び方、文語の使い方、そういったことを少しずつ学べているので、だんだん自分でもすてきな句が詠めたなと思えることも増えてきているし、人のすてきな句を見た時にもそれが分かるようになってきました。
ハマっているというよりは一番能力が伸びているのは俳句じゃないですかね。
――「俳句」は毎回どのくらい時間をかけて作られるんですか?
お題の写真見て、10~15分くらいで作ります。今までの自分の経験と照らし合わせて情景を思い浮かべて、それを描写することにしています。
――「いけばな」も特待生で、假屋崎先生からの評価も高いですね。
個展はよく見に行かせていただいていますし、先生のお花のお写真も拝見して勉強させていただいています。
あとは毎回、先生が番組でおっしゃってる注意点をなるべく守るようにしています。まだ自分では革新的というかオリジナリティーのある作品は作れていないと思っているので、先生も「(教えを)ちゃんと守ってやってくれてるわね」という評価をしていただいているだけだと思いますね。
そのうち与えられた素材だけではなく自由に作れるテーマをいただいた時に、いい作品を作れればと思っています。
僕は考え始めてからかなり練って作るので、もっといろんな素材を自分で選んで作りたいなと思うんです。
プライベートで作って先生に見てもらえたらうれしいですね。いつか番組でも「いけばな」の名人・特待生大会を開催していただいて、より豪華なものを作ってみたいですね。