「あしたのジョー」連載開始50周年記念作として製作されたTVアニメ「メガロボクス」(毎週木曜深夜25.28-25.58、TBSほか)が、去る4月5日より放送を開始した。
「メガロクス」は肉体とギア・テクノロジー(身体能力を強化させる強化外骨格)を融合させた究極の格闘技・メガロボクスを舞台にした作品で、メインキャラクターとなる2人――実力はありながらも非合法の賭け試合に立ち、八百長を強いられるメガロボクサー・ジャンクドッグを細谷佳正が、表世界のメガロボクスで絶対王者として君臨する勇利を安元洋貴が演じている。
ボクシングをテーマにした作品性、登場人物のバックボーンに「あしたのジョー」の因子を継ぐ本作の見どころと共に、演じるキャラクターの魅力などを細谷、安元の2人に聞いた。
泥臭くも分厚い人間ドラマ
――今回の「メガロボクス」は「あしたのジョー」連載開始50周年記念作品になります。漫画をお読みになったことはありますか?
安元:僕たちより上の世代の方々が主に愛している作品だと思いますが、漫画史に残る名作ですからね。もちろん触れたことはあります。一番最初に読んだのは小さい頃、床屋さんでだったかな? ああいう場所って少年漫画がよく置いてあるじゃないですか。そこでずっと読んでいた覚えがあって、大人になってからもまた改めて読んだりも。まぁ、今も昔も男の子の好きなものって変わらないですよね。ただただ格好良い。それでいて泥臭くて、人間ドラマがものすごく分厚い。すごい作品だと思います。
細谷:僕はテレビアニメでの印象が強いです。まだ声優になる前、研究生時代に再放送で見たんですが、あおい輝彦さん(矢吹丈役)の台詞回しが格好良いだけでなく、色っぽくて、それがすごく印象的だったんです。研究生になって日が浅かった頃で、「台詞は相手に伝わるようにキッチリ言うこと」という基礎を教わっている時期だったんですが、あおいさんの丈はそれとは全然違っていて。「別に聞いてても聞いてなくても構わないけどさ、俺はこう思ってんだよ…」みたいな感じの台詞回しで、それは当時の自分には「こういうお芝居もあるんだ」っていう衝撃と魅力に溢れていたんです。こういう役、いつかやりたいなって思いながら見てましたね。
――「あしたのジョー」を芝居の観点で捉えるのは役者の方ならではですね。
細谷:もちろんストーリーにも引き込まれましたけど、確かにキャラクターとお芝居を見るという意識の方が強かったかもしれないです。
――オーディションを経てのキャスティングとのことですが、ご出演が決まった時のお気持ちはいかがでしたか?
安元:とにかく嬉しかったです。男児たるもの、こういう骨太な作品には一度は出演したいと思うものなので、喜びは半端なかったです。これは父が喜ぶと思いましたけど、言えないので秘密にしてました(笑)。発表の時は驚いたんじゃないのかと思います。
細谷:僕はオーディション合格の報せを聞いたのが休業中のことだったんです(2017年、喉の治療のため一時休業)。当時は休むことに集中したかったので、休業後のことは深く考えずに、プライベートで旅行に行ったりしていたんですよ。その時に飛行機の中で「クリード チャンプを継ぐ男」(2015年、米映画)という、シルヴェスタ・スタローン主演の「ロッキー」(第1作1976年、米映画)の続編映画を見まして。感動しすぎて久々に泣いたんですけど、ちょうどその後に今回の報せを聞いて、ボクシングをテーマにした作品で復帰できるなんて、ちょっと自分、ロッキーみたいだなって思いました(笑)。
安元:ありがたいよね。休業していても選んでくれたって、それだけ信頼があり、期待されているということだし。
細谷:これは本当に嬉しかったですね。
――「メガロボクス」は「あしたのジョー」連載開始50周年記念作ですが、リメイクではなく、原案にした全く別の作品ですね。
安元:インスパイアはされてはいますが、知っていなければ楽しめないという作品ではないので、僕らはあまり「あしたのジョー」に捉われずに見ていただきたいと思っています。今の視聴者の年代的に見ていない方も多いと思いますし、むしろ「メガロボクス」をひとしきり楽しんだ後に「あしたのジョー」に触れてみると、「あれ、これって?」ってなって楽しいんじゃないのかと思います。どちらがどっちではなく、今の「メガロボクス」も、過去の「あしたのジョー」も両方を楽しんでもらいたいですね。ただひとつ言えるのは、「メガロボクス」のスタッフは「あしたのジョー」を愛して愛して止まない人たちです。その愛は作中の至るところに感じられるので、「あしたのジョー」ファンにはたまらない作品になっています。
細谷:矢吹丈がそうであったように、ジャンクドッグも自分の生き方を見つけ、歩んでいく。これは人生を選んでいく男の話だと思うんです。夢とも言い換えられる目標に向かって進んでいく、強いメッセージ性のある作品だと思っています。
――キャラクターのポジションにデジャブを感じさせるんですが、ジャンクドッグと南部の最初の関係は矢吹丈と丹下段平の最初の関係とはちょっと違っていて、世代の人にはそういうところも楽しいと思います。
安元:そこがテーマを同じくしつつも、別作品という部分ですね。ジョー世代の人たちが当時熱くなりながら見ていたように、「メガロボクス」も今の若い世代が拳を握ってしまうような作品です。もちろん、ジョー世代の方にも楽しめるし、そこで限定されるような作品ではないと思います。
毎週木曜深夜25.28-25.58 TBSほか
【HP】megalobox.com/
【Twitter】@joe50_megalobox
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