6月5日(土)から公開される映画「孤高のメス」の完成披露試写会が3月26日、都内で行われ、主演の堤真一、夏川結衣、吉沢悠、中越典子、平田満と成島出監督、原作者の大鐘稔彦氏、イメージソングを手掛けた馬場俊英が登場した。
本作は、現役医師・大鐘氏の同名小説を映画化した医療ヒューマンドラマ。'89年、簡単な外科手術もまともに行われない市民病院に外科医・当麻鉄彦(堤)が赴任する。信念を持って次々と困難なオペを成功させる当麻は、病に倒れた市長を救うため、当時の日本の法律では認められていない脳死肝移植を施す決断をする。
主演の堤は「タイトルは“孤高”なんですが、オペシーンの撮影などでチームワークをとても感じました。俳優も医者も孤独な作業だけど、現場に行くとチームがいて助けてくれるところが、似ているのかなと思います。でも、当麻先生と僕は似ているところが全く見当たらないので“僕がやっていいのかな?”と思いました」と感慨深げに思いを語った。
作中では、都はるみの曲が使われており、堤は「原作にはなく、監督が作った設定なんです。モデルになっている先生がいるんですけど、その方は、石川さゆりさんの音楽を流してオペをするんです。こぶしのところで、ものすごく力が入るので、僕には絶対向かないですですけど(笑)。でも、家で糸結びの練習をするときに聞いていたら好きになりました」と話すと、夏川から「石川さゆりがいいって言ってたじゃないですか」と突っ込まれる場面も。
夏川は「実際に手術を見学に行った時、かかっている音楽を鼻歌で歌って手術をなさっている先生がいてびっくりしました。でもそれは手術という行為に対して失礼なことではなく、リラックスすることが一番いいということらしいです」とエピソードを話した。
成島監督は「表面的には見えなくても、チャーミングな愛すべき部分が当麻に欲しいなと思いました。ユーモアと内に秘めた激しさみたいなのを都はるみで表現できればいいねと話していました」と起用に至る経緯を明かした。
大鐘氏は「映画化には乗り気ではなかったですし、最後まで監督さんやプロデューサーとやり合いました。けれど、先日この映画を見て、まいったなと思いました。原作とは別の角度からアプローチしていて、不覚にも涙が出ました。当麻を演じられた堤さんがしゃべったせりふは、かつて私がオペ室で言った“あれだな”と思ったらグッと胸に迫りました」と映画の魅力を熱く語った。
6月5日(土)より全国ロードショー