10年で思ったことや感じたこと、経験したことを、次の10年に持っていければ
――鉄平は会社を辞めてから新事業を立ち上げようと奮闘しますが、彼の前にはさまざまな壁が立ちはだかります。三浦さんご自身は、俳優として壁を感じた経験はありますか?
毎回、台本を頂いたときは一個の壁にぶち当たります。やはり、芝居は正解が分からないものなので、現場に入っても、OKが出ても、果たして「それで良かったのかな?」という疑問が毎回浮かぶんです。
毎日、正解が分からないという壁に当たっていますね。
――2018年はデビュー10周年を迎えられますが、これまでのキャリアを振り返ってみると、どんな思いがありますか?
業界に入って、右も左も全く分からない状態だった人間が、ある程度この世界を理解して、自分のやりたいこととやれないことの差を思い知ったのが、この10年間でした。
そして、この10年で思ったことや感じたこと、経験したことを、次の10年に持っていければ、またその次の10年が楽しいかなと思います。最終的に楽しかったらいいですね。
「仕事をこなすだけになっているな」という思いがあった
――鉄平を中心に、物語ではさまざまなキャラクターが変わる必要性を実感していき、それぞれの転機を経験していきます。三浦さんご自身の10年間のキャリアにおいて、転機となった出来事は何でしょう?
芸能界に入ったこと自体が転機ですね。僕はジュノン・スーパーボーイ・コンテスト出身なんですが、その前にエキストラのアルバイトをしていたことがあったんです。
そこで出会った方が、コンテストに応募してくださったんです。最終審査まで残って、今の事務所にスカウトしてもらったんですが、そこがまず一つの岐路でしたね。
――ということは、その後にも岐路があった?
ある時期、連続ドラマに立て続けに出演させて頂いていました。それに疲れてしまって、そのあたりが次の岐路になりました。
現場に行って、お芝居をして、家に帰ってというルーティンを続けるうちに、「僕じゃなくてもいいんじゃないか」と感じたことがあったんです。
確か24~5歳の頃でした。「仕事をこなすだけになっているな」という思いがあったんです。その当時から、意識が変わり始めました。
――そういった葛藤は、もう乗り越えたのでしょうか? それとも今もありますか?
今もあります。僕は見る側の目線にも立ちたいので、この役だったらこの役者の方がいいとか、あの人に演じてもらった方が絶対に面白くなるというふうに思います。そういった日々の葛藤はつきものですね。
――鉄平は自分にうそをつかないところに人間的な魅力を感じられるキャラクターですが、三浦さんは一人の男として、どうありたいと思ってらっしゃいますか?
毎日、楽しく過ごしたいですね。それは現場でも同じです。
――では、今回の現場も楽しかった?
楽しくやるためには、これがつらいんですよ…。そういった矛盾が生まれますね。でも、その矛盾がないと、ダメなんです(笑)。
取材・文・撮影=岸豊
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◆クレジット
Hair&Make=Aico/スタイリスト=根岸豪
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