草なぎ剛初主演ドラマ「いいひと。」が大きな自信につながった【テレビ東京プロデューサー / 稲田秀樹】
「働くこと」は「生きること」と同義。「ヘッドハンター」は誰もが共感できる作品です
──主人公のヘッドハンター・黒澤を演じるのは江口洋介さん。起用理由は?
「転職といっても善し悪しがあって、背景も人それぞれ。会社を移ってよかったと思う人もいれば、失敗したと思う人もいるんですね。ですから、黒澤という男には、そういうヘッドハンティングの功罪を背負った佇まいというか、怪しさと誠実さを併せ持ったような人に演じてほしい…そう思ったときに、真っ先に浮かんだのが江口さんでした。考えてみたら、江口さんはテレビ東京で(経済ドキュメンタリーの)『ガイアの夜明け』の案内人も務められているし、ピッタリじゃないかと(笑)。実際、撮影現場では、江口さんは、えも言われぬ魅力を振りまいてくださっていて。とにかく、めちゃくちゃカッコいいんですよ!(笑) ただし、取材でお会いしたヘッドハンターさんたちは真面目な方ばかりで、黒澤のように怪しかったり、人を不安に陥れるようなタイプではない、ということはここでちゃんと言っておきたいです(笑)」
――「ドラマBiz」のコンセプトは、“大人の鑑賞に堪え得る本格的なビジネスドラマ”。ターゲットは、どのような層を狙っているのでしょうか。
「当然、僕と同世代の男性にも見てもらいたいんですが、やはり幅広い世代に見ていただきたいですね。『働くこと』というのは、『生きること』と同義だと思うんですよ。その意味では、老若男女を問わず、誰もが共感できる作品になっているという自負はあるので」
──ドラマ好きにとっては、「いいひと。」や「金田一耕助シリーズ」の演出を手掛けた星護さんが、今回「ヘッドハンター」のメイン監督を務められる点も注目ですね。
「星さんは、僕がゴールデンタイムで初めてプロデュースを担当したドラマ『いいひと。』以来、何度もタッグを組んできた“盟友”。今回は、僕にとってもテレビ東京にとっても勝負作ですから、ここで星さんに登板してもらうのもありなんじゃないか、と。ただ正直、ケレン味たっぷりな、ある種、変テコな(笑)星さんの演出が、このドラマの世界観とマッチするのかどうか、最初は少し不安もあったんです。ところが出来上がりを見てみたら、それは全くの杞憂であることが分かりました。もちろん、星さんらしい独特の画作りは健在ですが、その一方で、サラリーマンたちの会話シーンなどには、リアルな息遣いが感じられて。いかにも星演出らしいね、という部分と、これまでの星演出作品にはなかった新しいカラーとが、とても面白いバランスの上に成り立っている。ドラママニアの方には非常に興味深い一作になっていると思います」