「スペリング・ビー」の"参加型”を解説
――この作品の大きな特徴は「参加型」であるということですよね。
はい。当日に参加者を募って、出演を希望する方に出ていただきます。
希望者以外にも声をおかけしようと、私には「プレゼンター」という役柄がついているんですが、実は当日見かけた特徴的なお客様に、出演に向けたプレゼンをするという意味を込めています。
――一般出場者はぶっつけ本番ですか?
簡単なルールのレクチャーはしますが、正解してください、優勝を目指してくださいというお話をします。
そうやって来場者も含めて役者・観客が一体となってみんなで作っていくという、とても特徴的な作品です。
――「スペリング・ビー」は、英語の単語のつづりを回答し、正解を競う大会。そこで選択されている単語は、どのように選ばれているのでしょうか?
作品上、子どもたちの抱える問題やキャラクターを象徴するようなワードが選ばれています。
それを意識して作品をごらんいただくと、より深く楽しめると思います。またこの作品は長く何度も上演されている舞台ですから、本筋とは離れた部分では、そのワードのチョイスは作品ごとに変わっている部分もあります。
過去の作品のチョイスから受け継ぎたいものは受け継ぎ、引用しつつ、新たな例題も作ってもいます。この舞台は、日本語圏の方々にも笑ってもらえる英語の物語という点も大きな魅力の一つだと思います。
観客として来場した人々から「スペラー(大会出場者)」が選ばれ、その状態で舞台が進行していくという稀有な特徴をもつ「スペリング・ビー」。
つまり毎回出演者は変わり、「二度同じことが起こらない」。登場人物の子どもたちのように、勇気を持って出場すれば、本当に"出演者と一体に”なれる舞台。そんな楽しみ方はいかがだろうか?
日時:2018年5月23日(水)~27日(日)
場所:東京・六行会ホール
【出演】
河西智美(オリーブ・オストロフスキー)
澄人/町田慎之介(ウィリアム・バーフェイ)
須藤香菜/加藤万葉(ローゲン・シュワルツ&グルーべニア)
杉浦奎介/佐久間雄生(チップ・トレンティーノ)
春日希/小松春佳(マーシー・パーク)
志村知紀/宮原健一郎(リーフ・コニーベア)
浅野実奈子/佐渡寧子(ロナ・リサ・ペレッティ)
川島大典/大野朋来(ミッチ・マホーニー)
柳瀬大輔(ダグラス・パンチ)
菊地まさはる(プレゼンター・他)
菊地まさはる:11月22日生まれ。埼玉県出身。大学在学中から児童・青少年対象劇団での全国巡回公演、鈴木忠志プロデュース’彩の国秋の舞台芸術祭’原田一樹演出「神の庭園」、蜷川幸雄演出「ロミオとジュリエット」、宇治川まさなり演出「スパイダー」、ハマナカトオル演出「野の花」などのストレートプレイを中心に活動。2001年「ルルドの奇跡」からミュージカルの世界へ。代表作に「赤ひげ」「ひめゆり」「タイム・フライズ」「何処へ行く」、東宝ミュージカル「レ・ミゼラブル」、「ミス・サイゴン」、新演出版「レ・ミゼラブル」など。主演作品は「Celebration」「ルドルフの魔法」「トラブルショー」など。俳優以外に、演出家、演技講師、ボイストレーナーとして活躍している。ミュージカル座での演出は、2014年「タイム・フライズ」、2016年「スペリング・ビー」に続いて3度目。