「今でも一番やりたいのは連続ドラマなんです」是枝裕和監督が語る 最新作「万引き家族」と“テレビへの思い”
念願の“戦時中の話”を15年にわたって構想中
──是枝監督は、過去に一度だけテレビの連続ドラマを手掛けています。阿部寛さん主演のホームドラマ「ゴーイング マイ ホーム」(2012年フジテレビ系)。この作品について、思い出はありますか?
「全てのキャリアの中で、『ゴーイング マイ ホーム』がやっていて一番楽しかった作品なんです。悲しいかな、あまり視聴率が良くなかったこともあって、ドラマはあれっきりになってしまっているんですが、実は今でも一番やりたいのは連続ドラマなんですよ。これはテレビ誌の取材だから言っているわけじゃなくて(笑)、本当に連ドラが好きなんです。いつか、ホームドラマとはまた違うジャンルの連ドラにも挑戦してみたいですね」
──それでは最後に、今後こんな作品を撮ってみたい、という構想は?
「戦時中の話をやりたいんですよね。きちんと、加害者としての日本を描きたいという思いがあって。実際、温めている企画があるんですが、それを公言しちゃうと実現しなくなっちゃうので(笑)、チャンスが来るまでは話さないようにしています。本当に、周りに話せば話すほど実現しなくなっちゃうんだよね(笑)。なので、今は口をつぐんで、何とか実現しようと機をうかがっているところです。ただ、最初に企画書を作ってから、もう15年くらい経っているので、そろそろ何とかしないといけないなと。
映画の製作って、意外にスーッと作品が実現化するパターンと、すごく遠回りしてしまうパターンがあって。その意味で言うと、今回の『万引き家族』は前者で、この2、3年で実現したんですよ。映画って、本当にタイミングなんだなとつくづく思いますね」