注目度急上昇中の中村倫也「若いころはカッコいいと言われたかったけど…」
どの役でも自分との共通点を見つけるようにしている
――「闇金ウシジマくん―」、「ホリデイラブ」ではSっ気の強いキャラ、逆に「スーパーサラリーマン左江内氏」(2017年日本テレビ系)ではおとぼけ系を演じられていて、役の幅の広さに驚かされます。その中でご自分に一番近いと思われるキャラクターはどれでしょうか?
「ホリデイラブ」の井筒もそうですし、「半分、青い。」の正人も「崖っぷち―」の江口も、それこそ「孤狼の血」の永川も、全部自分のどこかしらにあると思います。
というのは、自分とリンクするところを見つけないと演じられないので、どの役でも自分との共通点を見つけるようにしていて。だから、全ての役が等間隔にあって、遠くもなく近くもないところに自分がいるという感覚ですね。でも、役者が役と向き合うことは自分自身と向き合うことなので、ある種のナルシズムみたいなものが間違いなくありますが、それを知ってもらおうとは思っていなくて。
とはいえ、素の中村倫也はこいつに近いのかもと思ってもらえるものがバラバラになると面白いなと思います。
――中村さんは映画、ドラマ以外にも、蜷川幸雄さんの舞台などでもご活躍されていますね。
蜷川さんが亡くなられたときには、一つの時代が終わった気がしました。初めてご一緒したシェイクスピアの「恋の骨折り損」という舞台では何もできなかった感覚があって、それを「ヴェニスの商人」をやったときに少しは挽回できたいかなという思いがありました。それこそ今回朝ドラに出演したのを“恩返し”と言いましたが、蜷川さんに対してもそういう思いがあったんですよね。だから、「ヴェニスの商人」で、ちょっとでもおじいちゃんを笑顔にさせられたかなと思えたことはよかったなと思います。
――蜷川さんの演出は厳しいことで有名ですが、中村さんのときはどうでしたか?
相当鍛えられましたね(笑)。それこそ、どの作品でも準備が必要ですが、普通なら1~10までを準備して稽古や撮影に挑むところを、蜷川さんの場合は15ぐらいまで準備をしていないと許してもらえないんですよね。そういう仕事への臨み方も教えていただいた気がします。
――それは中村さんのプロ意識の高さに通じるところですね。
ある意味、完璧主義者なんだと思います。もちろん、僕にもダラダラしているところがありますが、仕事に関しては別。隅から隅まで準備を怠らず、それをして初めて演技ができると思っているので。とはいえ、自分一人で作っていてもしょうがないから、準備したものを現場でいろんな人とすり合わせ、足し算や掛け算、引き算をしながら演じるようにしています。