「めちゃイケ」ガリタさんが仕掛ける“見るっきゃないテレビ”の新しい形【フジテレビ営業局・明松功】
もう一度テレビの魅力に気付いてもらうために、テレビ局が知恵を出し合うべき
――そしてこのたび、ついに「新しい“営業発の番組”」が実現されました。ドラマ本編の中にCMを融合させるという史上初の広告融合型コンテンツ「名探偵コジン」。明松さんは、番組の構想とトータルデザインを手掛けられたそうですが、 この企画が誕生した経緯は?
「営業局へ移って以来、営業局発信で面白い番組が作れないか、ずっと模索してきたんですが、なかなか形にならない日々が続いていたんですね。そんな中、ちょうど1年前に、僕の大学時代のアメリカンフットボール部の後輩で、今は電通にいる中尾孝年くんと、たまたま2人で飲むことになって。CMを使って何か面白い番組が作れないかと考えている僕と、録画で見る視聴者が増えてCMがスキップされてしまうことに虚しさを抱えている中尾くんという、“CMとテレビ番組の幸せな共存”という問題に直面した2人が、ここで出会うわけですよ(笑)。そして、このときに2人でしゃべったことが、『名探偵コジン』という形になっていくんです。
その後、僕と中尾くんのほかに、電通のフジテレビ担当の伊藤三朗くんも加わって…彼も大学アメフト部の後輩なんですけど…3人でブレストをするようになって。そんな中で、〈劇中に、演者の口を借りてスポンサーのメッセージを伝える宣伝ブロックがあって、それがストーリーに影響を及ぼしたり、本編に有機的に練り込まれている〉という構成のドラマがあったら面白いんじゃないかと。そういった基本の形は、去年の秋には固まったんですけど、ここからが難しかった。スポンサーが決まらないと脚本が書けない、脚本が書けないとキャスティングできない、キャストが決まっていないとスポンサーが興味を示さない…要するに『一体どこから進めればいいんだ!』と(笑)。ですから、『まだまだ仮定の段階なんですが…』と前置きしつつ、『それでも、まだ誰も見たことのない新しい形の番組を目指していることは間違いないんです』という、われわれの志と熱意をアピールしながら、各方面と話を進めていきました。
その甲斐あって、かなり面白い作品に仕上がっていると思います」
――それは楽しみです! では最後に、テレビ界はこれからどこへ向かっていくのか、そして、“テレビマン・明松功”の今後の展望をお聞かせください。
「『めちゃイケ』のスタッフのころから、僕のテーマは一貫していて。それは“見るっきゃないテレビ”です。『めちゃイケ』という番組は、毎週見てくださっていたファンの方々には、最後までずっと高いクオリティーを維持していたことは伝わっているはずだと思うんですが、一方で、ファンの皆さんの“見るモチベーション”が一度下がってしまったら、どんなに面白い企画でもなかなか見てもらえないんですよね。そう考えると、人々の見るモチベーションを高めるためには、事前の話題作りと、視聴を習慣づけてもらうこと…いわば“宣伝なき視聴習慣”に委ねることが大事なのかなと。サッカーワールドカップの日本戦などは理屈抜きに見てもらえるんでしょうけど、レギュラー番組を毎週『見るっきゃない』と思ってもらうには、“ざわつき”をどうやって作るのかが勝負。そこはフジテレビが総力をあげて取り組まなければならない課題だと思います。
もっと言えば、昔と違ってテレビ以外のメディアを楽しむのが当たり前になった今こそ、もう一度テレビの魅力に気付いてもらうために、テレビ局の垣根を越えて、知恵を出し合うべきだと思います」