「中国だけで終わりたくない」逆輸入俳優・矢野浩二 日本の作品でも存在感
「これが大陸的なんだな」戸惑いも
ーー「警視庁 捜査一課長」の内藤剛志さん、「相棒」で共演した水谷豊さん、日本のトップ俳優と芝居をしてきましたが。
ああいう方達の凄さは、僕らのような役者に全然プレッシャーを与えないことです。役者が演じやすい、気楽な空気感を現場に作り上げます。 頂点にいる役者さんは、みなさんそうですよね。本番前まで冗談を言って(笑)。でも、本番に入れば、内藤さんは一課長に、水谷さんは杉下右京の顔になる。あれは真似が出来ないというか。僕はセリフの最初から最後まで、本番直前まで頭に叩き込まないと芝居が出来ないです。
ーー日本と中国で撮影の手法は異なりますか?
撮影は中国のほうがスピーディですね。30話のドラマを2カ月半ぐらいで撮るので。
ーー30話を2カ月半?
ただ、中国ではクランクイン前に全ての台本を受け取ります。1カ月前に作品の全体像がわかるのでそれなりの準備が出来ますね。 でも、撮影に入ると1話から順番には撮らないんですよね。組まれたセットごとに撮っていきます。例えば、会議室のセットが出来たら、全ての会議のシーンを3日程度でまとめ撮りします。
ーー3日間で、長い物語のテンションをコントロールするのは大変ですね?
僕が中国で初めて出演した「永遠の恋人」では、ヒロインの女性に別れを告げるのが最初のシーンでした。クランクインが最終回です(笑)。ヒロインへの気持ちも出来上がっていないので入り込めない。それでもやらないといけない。これが大陸的なんだなと戸惑いを覚えながら、演じていましたね。
日本の連続ドラマは、基本的に1話から順番に撮ってくれるじゃないですか。そういう意味では、気持ちの作りやすさはあるのかなと。まあ、どちらにも大変さはありますけどね。
こうやって日本で仕事をしている以上、ひとりでも多くの日本の方に名前と顔を覚えてもらいたいです。そのために、役者としてはどんな役柄でも1シーン1シーンで存在を残していきたいです。
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