元寇(げんこう)をテーマにした歴史アニメ「アンゴルモア元寇合戦記」が、7月10日(火)からサンテレビ、TOKYO MXほかで放送を開始する。
アフレコが進む中、ヒロイン・輝日(てるひ)を演じるLynnにインタビューを行い、物語の魅力、輝日や主人公・朽井迅三郎について話を聞いた。
「アンゴルモア元寇合戦記」は、たかぎ七彦が電子コミックサイト「Comic Walker」(KAODKAWA)で連載する作品。元寇とは1274年と1281年(鎌倉時代中期)の2度にわたるモンゴル帝国よる日本侵攻のこと。蒙古襲来と言えばピンと来る方もいるだろう。
“元”は当時のモンゴルの国号であり、“寇”は外敵のことを指す。当時、版図を広げるモンゴル帝国はヨーロッパにも侵攻し、その矛先は東方へも向いていた。海を渡り、対馬に押し寄せて来た蒙古軍は3万を越えたという。
「アンゴルモア元寇合戦記」の主人公・朽井迅三郎は、ある罪で島流しになった元御家人の鎌倉武士。義経流という、源義経を源流にする兵法の使い手の男だ。そして、迅三郎をはじめ集められた流人たちに、「この対馬のために死んでくれ」と、捨て石の命を下すのが、Lynnが声を当てる対馬地頭代の娘・輝日である。
元寇について、知ってはいたが詳しい出来事の内容までは…と言うLynnだったが、演じる輝日を通し、物語の面白さだけでなく、元寇という史実にも興味を深くしていったという。彼女が触れた「アンゴルモア元寇合戦記」の魅力とは?
歴史に興味が湧く“元寇”の戦い。その時、対馬で何が?
――まず、Lynnさんが感じた「アンゴルモア元寇合戦記」の魅力から教えてください。
完成した第1話を見させていただいたんですが、本当にすごかったんです。力強く、絵巻物のような時代感のある絵に目を奪われて、久々に震えたというか、純粋に「すごい!」って感動しました。原作を拝見した時から絵のタッチが雄々しいと思っていましたし、命を懸けた戦の迫力、動きをどうアニメーションにしていくんだろうと期待していました。
人間ドラマにも引き込まれて、「(学生の時)こういう作品が身近にあったら歴史に興味を持てたのにな」と思いました。歴史物の作品は声優として演じてみたかったジャンルですし、今回、輝日という役で作品に携われたのはとても嬉しいです。
――Lynnさんの役となる輝日はどんな女性ですか?
輝日はとても勇敢な心を持った女性です。戦った経験はないし、本当は戦なんかはしたくない。それでも大事な人を失い、対馬を守るために自分を奮い立たせて戦場に出ていく女性で、本来は優しくて、弱くもある彼女ですが、戦の重みを知り、凛々しく逞しく変わっていきます。輝日は悲しみや怒りといった感情をストレートに出すので、視聴者の方に一番近い目線で物事を見ているキャラクターだと思います。
――輝日について、Lynnさんの目線で魅力に感じるところはどこですか?
輝日はまだ17歳の若い女性なんです。そんな歳で対馬の人々を率いなければならない状況になってしまうんです。私だったら絶対立ち向かえないような、逃げ出したくなる悲惨な状況になっても彼女は自分を奮い立たせて前に進むので、その強さはすごいなと思います。
迅三郎に対して恥じらいながら籠絡しようとするシーンもあるんですが、守りたいものを守るために彼女も必死なんだと思いました。
――チャレンジしたかったという歴史物の作品ですが、実際に演じられてみてどうでしたか?
正直、とても難しいです。普段日常では使わない言葉がたくさん出てくるので、どこにアクセントを置いていくのか掴みにくく、読むことに必死になってしまうんです。言葉に感情を乗せて、違和感なく聞こえるようにするために、練習により多くの時間をかけて臨んでいます。難しい挑戦ですが、すごく楽しみながら演じています。
――輝日を助ける主人公・朽井迅三郎はどんな人物ですか?
迅三郎は一言でいうとすごく格好いい人物です。格好をつけない格好良さ、男らしい男臭さというか。口にする言葉は飾らない本心だし、真っ直ぐに言葉をぶつけてくるので、受け取る側の心に強く響くんです。輝日もそういう迅三郎の言葉にハッとさせられるシーンがあります。ただあるがままに堂々とそこにいる感じが素敵だなと思います。
――ちなみに対馬に行かれたことは?
実は、この番組の予告動画の撮影のためにロケに行かせていただきました。初めての対馬は、自然豊かで食べ物も美味しいし、とても素敵な場所でした。小型ボートで海にも出て、水しぶきを受けながら一足先に夏を感じることもできました。今年の夏も暑くなりそうなので、もう一度行ってみたいですね。
――もうすぐ第1話の放送となります。見どころはどんなところになりますか?
第1話、私は感動のあまり身震いしてしまったのですが、本当にすごい映像に仕上がっています。1本1本の線で描かれた雨のシーンや戦いのシーン、和楽器を入れた音楽にも心が震えました。実際にあった歴史を基にした話ですが、堅苦しさはまったくないので、時代物は苦手だな、という人にも先入観なく見てもらいたいです。
物語が面白いのはもちろんなんですが、この作品を通して、歴史や対馬にも興味を持っていただけたら嬉しいですね。
蒙古襲来は日本史の中、初めて日本本土で異国の軍との戦いになった出来事でもある。「口上を述べ、鏑矢を放つ」という日本の合戦の作法などまるで通じない蒙古軍との初遭遇戦も、注目してほしいポイントの1つ。物語は史実を基にしたフィクションではあるものの、Lynnが感じたように、興味深く見られる日本史の重要点であることは間違いない。
取材・文:鈴木康道
2018年7月10日スタート
毎週火曜夜0:30 サンテレビほか
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