笹峯愛が手掛ける最新作「吐く」が上演スタート!
女優・笹峯愛が2014年に旗揚げ&プロデュースを続けるaibookも今作「吐く」で4回目。上演中の作品の見どころを語ってもらった。
これまでの作品は「基本的に、家族や人のつながりを描くことが多かった」という笹峯。今作はいつもと違うアプローチ、笹峯にとっては「挑戦」となる。
「今回は、個人の欲望を軸に、町の再生も人とのつながりも、私個人としては、否定したい要素を良しとして取り入れています。SNSによって、世の中の嫌なニュースを目にする機会が増え、それらの出来事に対しての発言も簡単に発信できるわけですが、個人的な感情を吐き出しているだけのように感じる発言を見ると、物事がひずんでいくのは、個人の欲望なのかなと思ったりしています。最近、それを感じる頻度が増えていたので、そこを描いてみようと思いました。またその先にあるものは何か、というところで、物語上、良しとしている部分を肯定しない作品にしたいと考えています。
そんな固いテーマですが、見どころとしては、そこに生きる役者さんたちのやり取りです。派手な演出も動きも、大袈裟なものは何もありませんが、個性豊かな皆さんのやり取りは、難しい事をサラリとみせる何よりの見どころだと思います」。
笹峯が演者として最後に舞台に立ったのは2014年5月。ドラマ・映像出演の印象が強い笹峯だが、2005年から9回、ユニットプロデュース公演を続けていた。
「事務所を離れてフリーになって、現場を経験する機会は減っていました。なので、ワークショップや稽古を続ける中で、現場も経験できる機会を作るために始めました。
1回から作・演出・出演していましたが、6回から自分の作・演出の時は出ないと決めました。広い目で見られないという力量と、私が演るよりも、他のすばらしい役者さんが私の脳内以上の事をやってくれる面白さを優先したいと思ったからです。その分、自分も役者を演る時は、作家さんや演出家さんの脳内を超えられる想像力と技術を身につけたいとは思いますが…。作・演出をやってみて、自分は普段、とても表面的な付き合いをしているんだと知りました(笑)。演出は人に理解してもらう作業だと思っていましたが、もちろん、それはそうなのだけど、それ以上に人をじっくりと深く理解する作業なんだなと思うようになりました。役者をやると演出を理解しようとするんですけどね。
どんなに何度一緒にやっても、その作業はお互いに毎回初めからやらねばならない作業だなと痛感しています」。女優業だけでは知りえなかった自分を顧みることができたようす。
aibookを旗揚げしてからは、自身が出演することはなく、今後も「自分が作・演出する場合は出演するつもりはありません(今のところ)」と作・演出に徹底したスタイルを貫く。
舞台は下北沢にて9月4日(火)まで上演中。
「今後は映像の脚本もやってみたいです」。笹峯の野望はまだまだ終わらない。
期間:8月29日(水)~9月4日(火)
会場:東京・下北沢・駅前劇場
HP:http://aibook.trickplan.com