SKE48 10周年記念特別公演で出てきた「壁」という言葉<コラム>
このコメント冒頭に出てきた“壁”という言葉、これがくしくも私の取材メモにも書いてあった。
書いてあったのは「片想いFinally」に関するところ。直前のMCで、同楽曲で「ミュージックステーション」(テレビ朝日系)に初出演したことを話していたが、このときの初登場らしからぬ堂々たるパフォーマンスは、いまだにファンの間で語り草となっている。
一方、この10周年記念特別公演の「片想いFinally」は、2~5期生に移籍組を加えた12人が披露。素晴らしいパフォーマンスだったが、その気迫の元には「ミュージックステーション」のイメージとの葛藤もあるのではないかと感じた。
さらに、最近取材した際に、斉藤は後輩とのギャップについて語っていた(こちらの記事は近日公開予定)。SKE48の劇場デビューからおよそ半年後にデビューした2期生で、昔を知る斉藤だからこそ、「片想いFinally」がそうだったかは分からないが、10周年を振り返るこの2日間のセットリストで“過去の壁”を感じることが多かったのだろう。
だが、私のメモにはもう一つ書いてある言葉がある。
“気合”。
この日の「片想いFinally」を披露したのは、過去を知るメンバーばかりだったからかもしれないが、先述の通り、過去の壁を蹴破るような力強いパフォーマンスにより一層の気合を感じた。
斉藤がいつまで先をイメージしてギャップを感じているかは分からないが、同期の高柳明音が先頭に立って「SKE48は今が一番楽しい」と発信し、“楽しい”雰囲気を後輩に伝播させていったように、先輩たちがこうやって気合の入ったパフォーマンスを見せていけば、過去を体験として知らない後輩にもまた伝わるだろうというのは、いささか楽観的だろうか。
「オキドキ」の大サビ前、斉藤と6期生・熊崎晴香のハイタッチは「バチン!」と劇場の後ろまで大きな音を響かせた。現時点でそうやって共鳴してくれる後輩も、少なからずいるだろう。
いずれにせよ、彼女たちが模索する姿も含めて「SKE48は今が一番“面白い”」という気持ちで、変わっていくこと、変えずにいることを今後も取材を通して見ていけたらと思う。